働く広場2023年10月号
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(1)テレワークの利点ICT(情報通信技術)を活用したテレワークについては、障害者雇用においても、多様な働き方の推進や雇用機会の確保の観点から、さらなる普及をめざすための取組みが実施されてきました。特に2020(令和2)年以降、新型コロナウイルス感染症対策としての必要性もあり、テレワークで働く障害者は急激に増加しました。そうしたなかで、障害者がテレワークという働き方をどのように認識し、どのようなニーズを持っているかを、総体として明らかにした調査は少なかったように思われます。このため、テレワークで障害者が働く際にはどのような課題があり、企業や障害者の双方がどのように対処しているのかといったことを、この機をとらえて明らかにする必要があると考えました。障害者職業総合センター研究部門 そこで障害者職業総合センターでは、2021(令和3)年度から2022(令和4)年度にかけて、「テレワークに関する障害者のニーズ等実態調査」を実施いたしました。本調査では、就労や求職活動を行っていない人々も含めたアンケート調査により、障害者のテレワークに対するニーズ等を明らかにするよう努めました。加えて、テレワークを経験した障害当事者と、障害のある社員がテレワークで働いている企業の人事担当者等の双方にヒアリングを行い、障害者がテレワークで働く際に直面する課題とそれらへの対処法を、多角的にとらえることとしました。今回は、「雇用されている」障害者に関する結果の一部をご紹介いたします。今回、テレワークに関するアンケート調査を、事業主支援部門1,000人の「雇用されている」障害者に対して実施しました。このなかで、現在の勤務先でテレワークの経験がある障害者に「テレワークを経験して良かった点」(複数回答可)をたずねており、その結果をまとめたものが図1です。最も多くの回答者が選択したのが、「通勤の負担軽減」でした。 「通勤の負担軽減」というテレワークの利点は、障害の有無に関わらず当てはまるものであり、さほど注目すべきことではないようにも思われ1 はじめに2 調査結果より(一部紹介)   0テレワークに関する障害者のニーズ等実態調査図1 「雇用されている」者に聞いたテレワークを経験して良かった点(複数回答)通勤の負担軽減通院時間の確保服薬がしやすい介護を受けながら働く体調に合わせて働く作業環境の設定周囲の目を気にせず作業通勤できない遠方の企業に就職その他無回答26.617.25.133.225.528.72.61.92.11020304050n=47074.7607080(%)働く広場 2023.1028

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