屋や電子工業」(以下、「鹿屋電子工業」)は、瀬せ戸と口ぐ摩ま耶やさんが、父・悟ささんに代わり和牛や黒豚などの畜産業で知られる鹿児島県の大お隅す半島地域には、大手の電子部品・機器メーカー工場にかかわる事業所も少なくない。その一つ「有限会社鹿かおもに精密部品の加工・検査を手がける会社として1980(昭和55)年に設立された。同社が障害者雇用を本格化させたのは、6(平成28)年の少し前からだ。瀬戸口さんは「仕事を引き継ぐなかで、障害者の就職面接会の案内状を目にしたことが直接のきっかけです」と話す。それまでも身体障害のある従業員は数人いたが、面接会で精神障害のある1人とるを採用したことを機に、職場実習などを行いながら障害者雇用を進めてきた。いまでは従業員292人のうち障害のある従業員は15人(身体障害5人、知的障害7人、精神障害3人)、障害者雇用率は4・にのぼるという。職場では、障害のある従業員も部品検査や設備オペレーションといった業務をこなしている。そこには、瀬戸口さんが社長就任後につくった社訓「可能性を限定しない」という方針が貫かれている。その現場を取材させてもらった。鹿屋電子工業は2014年、ハローワー 5 ちのみお き した。瀬戸口さんがふり返る。ク主催の障害者就職面接会に初めて参加 「労働生産人口の減少が予想されているなかで、障害者雇用も高齢者雇用も積極的に進めたほうがよいと思っていましたし、もともと障害のある人もない人も一緒に働くことに大きな差はないと感じていたので、幅広く人材を求める姿勢で面接会に臨みました」妻で取締役を務める幸ゆ代よさんも一緒に参加し、「何人か面接したうちの1人で、精神障害のある男性(Aさん)に意欲を感じました」という。ただ、それまで職場には身体障害のある従業員しかいなかったため、「具体的にどう採用まで進めていくか、ほぼ手さぐり状態からのスタートでした」とふり返る。まずはAさんの相談先だった障害者就業・生活支援センターからアドバイスをもらい、職場実習からやってみることにした。おもな内容は、従業員が行っている部品検査の前工程と呼ばれる業務だ。瀬戸口さん夫妻は「2週間にわたる実習後、POINT123精密部品の加工・検査面接会での出会い精密電子部品の加工や検査を手がけている有限会社鹿屋電子工業は、代表取締役社長の瀬戸口摩耶さん取締役を務める瀬戸口幸代さん38歳で代表取締役社長に就任した20181%(2023︿令和5﹀年6月1日現在)働く広場 2023.10障害者の就職面接会への参加を機に、職場実習を行い障害者雇用を本格化障害者職業生活相談員と障害者就業・生活支援センターとの密接な連携による支援工夫し、時間をかけながら、だれもが同じ業務をこなせるように
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