下に、『いや、あなたも聞かないでしょう』と返した笑い話もあります。他人が『あなたにはできない』と決めつけず、だれにでも必ず伸びしろがありますから、可能性を限定せず、多少の時間や工夫が必要なときは配慮していこうというのが会社の考え方ですね」内田さんの採用以降、鹿屋電子工業では継続的に特別支援学校からの職場実習生を受け入れている。年2回で期間は1~2週間だ。「これまで6人が実習を経て入社してくれましたが、みなさんほんとうに優秀で驚かされています」と幸代さん。入社3年目の池いケが谷や翼つさん(20歳)も、特別支援学校の2年次に職場実習に参加して入社した。三つめの生産拠点として2020年から稼働している「おおすみ工ばさ大お窪く直な人とさんは「落ち着いて取り組む姿場」で機械操作のオペレーターを務めている。具体的には、専用の機械で製品画像を撮って品質確認をする業務だ。実習時から検査機の操作を教わったという池ケ谷さんは、「仕事をていねいに教えてもらえる職場環境がよかったです」と話す。上司として指導にあたっているを見ていて、一緒に働けそうだと思いました」と当時をふり返る。一方で池ケ谷さんは、「働き始めてからは、業務中にわからないことがあっても、ついそのままに放置してしまいがちでした。大窪さんから『大丈夫?』と聞かれるので、いまは、自分から聞いていけるように努力しているところです」と明かす。そんな池ケ谷さんのために、2年目からは毎日15分程度、別室で個別面談も行っているそうだ。その日の仕事のふり返りや、現場で聞きそびれたことを質問してもらっている。池ケ谷さんは「この面談のおかげで、気になっていたことをその日のうちに全部伝えて解消できるので、仕事内容にも自信が持てるようになりました。安心感が違います」。大窪さんも「現場で大切な“報連相(報告・連絡・相談)”を身につけてもらうよう、うながしています。いまは本人が担当している業務内容について“社内認定”を取得できるようがんばっていて、もう少しですね」と背中を押す。社内認定は、規定の教育内容などをクリアし、筆記テストなども受ける。社内認定を取得すれば、一人で業務全般を行えるようになるそうだ。これまで障害者雇用に取り組んできた鹿屋電子工業にとって、「大きな支えとなったのは障害者就業・生活支援センターとの連携でした」と取締役の幸代さんは語る。 「少しでもわからないことがあったりアドバイスがほしかったりするときは、すぐに相談します。最初のころは『毎日電話していますよね』と冗談をいい合うほどの密接な関係でした」障害者就業・生活支援センター主催の障害者就業・生活支援センターとの連携毎日のふり返りタイムおおすみ工場製造課で働く池ケ谷翼さん池ケ谷さんの指導にあたるおおすみ工場製造課の大窪直人さんおおすみ工場本社工場製造課責任者の岡元一郎さん 7 け おぼお働く広場 2023.10
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