職場適応のために普通科高校の生徒も(★1)の個別勉強会も行い、4級に合格しが、一緒に働くうえで共有したのは『必要なときは、きちんと叱る』こと。安全第一ですから『それは危ないから絶対にダメ』などと注意していました」それから8年の間に、パソコン入力など、できる作業がどんどん増えたという。渡辺さんが話す。 「職場では『品質管理検定Ⓡ(QC検定Ⓡ)』ました。いまは障碍のある同僚2人とともに、3級の勉強中です」ちなみに西精工では、全従業員の8割以上がQC検定Ⓡ3級合格を目ざしている。日々の現場でも専門用語などが出てくるため、「障碍者は特別というのではなく、同じように理解していく土壌をつくりたい」という西さんの方針もあるそうだ。西さんが講師役となり月1回、朝の時間に行う全従業員向けの「リーダーシップ勉強会」も、出勤時間が異なる障碍のある従業員らが受講できるよう昼の部もつくった。同じ内容を、少しかみくだいて説明しているそうだ。特別支援学校からの新卒採用が増えて ここ ほか、JEEDの徳島障害者職業センターいった西精工では、複数回の職場実習のを利用している場合は、「職業評価」の情報を本人同意のうえ提供してもらい、取組みの参考にしている。職業評価は、就労の可否や適職を判定するものではなく、聞き取りや各種の検査・作業を通じて本人の得意・不得意や職業上の特性を整理するものだ。より働きやすい環境や就労に向けての努力課題などを把握できる。「職場実習だけでは細かな特性の凸で凹ぼがわかりにくいこともあり、入社後の仕事内容や合理的配慮を検討するうえで、とても参考になっています」と渡辺さん。入社後は、一人ひとりの特性に沿った作業日報を書いてもらい、人によっては連絡ノートを用いて家庭ともやり取りをしている。家族を対象とした職場見学で理解を深めてもらうほか、年末に家庭へ電話をかけるのも恒例だ。一年間の成長ぶりをふり返り、翌年の働き方なども相談している。西精工では、24人の障害者職業生活相談員が各部署に配置されているが、それでも仕事上の問題が出てきたときには、障害者職業センターの職場適応援助者(ジョブコーチ)支援を利用したり、家族を含めたケース会議を行ったりすることもある。渡辺さん自身、企業在籍型ジョブコーチとしても活動している。 「いまもスキルアップのための講習や研修に参加しています。全国から集まった会社の担当者たちとのグループワークは、互いの職場の失敗事例などを話し合い『こんな方法もあるのか』と勉強になりますし、なにより『私もがんばろう』と気持ちが引き締まります」西精工の障碍者雇用の取組みは、地元のテレビや新聞でも紹介された。するとある日、県内の普通科高校からも職場実習受入れの依頼が来た。発達障碍のある生徒が、就職を希望しているとのことだった。本人は幼少期に診断を受け、発達障碍児向けの訓練を受けながら普通科高校に進学。しかし、「大学ではうまくいかないのでは」と心配した親御さんが、県外の専門教育機関に相談したところ「お子さんはスキルが高すぎて教えることがない」と断られた。そして、学校の三者面談で就職を模索することになり、西精工の名前があがったという。本人はもともと自宅でCAD操作に取り組んでいたことから、CADにかかわる実習を希望。西精工は受入れ条件として、立体の展開図などを考える課題3問を出したところクリアした。実際に受け入れてみると、文章の読み取りは苦手だが視覚的情報の理解度は高働く広場 2023.11★1 品質管理検定®、QC検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。総務部総務課労務係の藤原侑子さん障碍のある社員も参加する「リーダーシップ勉強会」の様子(写真提供:西精工株式会社)10
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