働く広場2023年11月号
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1.えのきの工場一貫生産2.障害者雇用今回の訪問先は、食卓におなじみの﹁えのき﹂を工場で一貫生産し、年間約6千トンもの出荷をする西日本最大級のえのき生産会社です。正直なところ、取材前は企業そのものに興味津々でした。ですが、実際に訪問をしてみると、障害者雇用における中小企業の底力を考えさせられた取材になりました。えのきが工場で一貫生産される工程は、千ち晴はさんが入社されて以来、同氏を中心﹁詰め込み﹂、﹁殺菌﹂、﹁種た菌き接種﹂、﹁培養﹂、﹁菌き掻か﹂、﹁芽出し・育成﹂、﹁紙巻き﹂、﹁収穫﹂、﹁計量・包装・出荷﹂の九つから成り立っています。取材した株式会社加藤えのき(以下、﹁加藤えのき﹂)は、1973(昭和48)年にみかん生産からえのきの単品生産に事業を切り替え、2017(平成29)年に株式会社に登記変更しました。資本金は3千万円、スタッフ数はパートを含めて230人(2023︿令和5﹀年8月現在)、五つの工場を擁する企業です。同社の障害者雇用は、2005年に当   と る  きんねん機構(JEED)の宮崎障害者職業センターからの依頼を受けて採用したことから始まったそうです。翌年に大手企業の半導体製造部門で25年間勤務された柳や本もに、現在に至るまで十数人の障害のある人を採用してきました。いまでは、常務取締役となった柳本さんが総括となって、各部の部長が障害のあるスタッフに個別対応する体制になっています。現場スタッフからのさまざまななぎ意見を、上司が随時吸い上げて柳本さんのところに集約されるのです。問題が複雑な場合には、障害者職業センターに相談して職場適応援助者(ジョブコーチ)の支援を利用しています。スタッフの採用にあたっては、社長の知り合いといった地縁関係からの紹介も少なくありません。最近では、長年の経験をふまえて現場の作業状況を基にした、同社独自の能力評価様式を開発しており、障害者職業センターの事業主援助業務の一環で、雇用管理の仕方についての見学先として他社に紹介されるほどになっているということです。中小企業の障害者雇用の展開POINT123働く広場 2023.11株式会社加藤えのき本社株式会社加藤えのき常務取締役の柳本千晴さん21中小企業の障害者雇用は地域支援機関との連携に支えられている外国人スタッフと障害者のダイバーシティ&インクルージョンの展開組織間ネットワークの構築の基盤は人的ネットワーク

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