働く広場2023年11月号
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     ●  ●  た。そうした実績から、昨年4月にパート待遇から正社員に昇格しました。現在では、ジョブコーチの養成研修などで柳本さんとともに講師を務められることもあります。入社当初は、指示が伝わらない、自分で考えて行動はするものの、ミスが多いといったこともあって、教育訓練をやり直しました。その際に発達障害のある同僚社員と仲よくなり、彼から多くの刺激を受けて仕事の楽しさなどに目覚め、モチベーションも向上し始めました。その同僚の異動によって一緒に仕事ができなくなったことから退職を希望したこともあったのですが、同じ部署に再配属することでモチベーションが再向上してきました。これらを評価して、正社員として登用しました。日髙さんもインタビューに応じてくださいました。1週間の体験実習では敷地が広いことが印象的で、最初は務まるかどうか不安でした。10月に入社し配属先が柳本さん 4.日髙さんのビジョン日髙さん 出荷棟だったので、冷蔵庫が寒かったことをよく覚えています。また、直後から会社の繁忙期となり、残業も当然という状況にとまどいを感じました。でも、やがてそうした意識は吹き飛んで、繁忙期を乗り切ったことが強い自信となり、自分よりがんばっている先輩社員を見ると、自分もがんばろうと前向きな気持ちになり始めたのです。正社員となった自分を入社当時と比べると、仕事への見方が明らかに変わりました。以前はほどほどに仕事をこなせばよいと思っていたのですが、いまは目に見えない重圧をとても感じています。それは、仕事は自分の好き嫌いだけで終わるのではなく、与えられた役割と責任をきちんとこなすこと、それを果たさないと会社に大きな損失を与えるという自覚が生じてきたからなのです。そして日髙さんに、今後の抱負についてたずねると、ほかの社員に自分の存在を認めてもらい、外国人スタッフが中核となっているといっても過言ではない同社にあって、モデル社員となることが目一いさんによれば、障害者就業・生活支援標だといいます。さらに、社長の経営ビジョンを知るにつれて、以前にも増して会社が好きになってきたそうです。働きたい人であれば、国籍や障害を問わずに門戸を開き、えのきの生産工場を海外にまで展開させたいという経営戦略に感動して、それを自分の意思に取り込み、会社から期待される人材として成長していきたいと語ってくれました。串間さんによれば、障害者職業センターのジョブコーチとして、県内のハローワークや障害福祉サービス事業所の担当者と緊密な共同作業を進めることができるのは、強固な人的ネットワークが存在しているからということです。しかもその構築には宮崎県固有の施策があったといいます。宮崎障害者職業センター所長の高た瀬せ健けセンターの設置以前から県の単独事業として育成された﹁障がい者雇用コーディ かんち  ●    組織間ネットワークの基盤となる人的ネットワーク働く広場 2023.11敷地内には、複数棟の工場や出荷棟などが立ち並ぶ24

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