働く広場2023年11月号
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担当者のオンとオフの切替えについて都道府県支部(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)野の路じ和かず之ゆき さん―障害者雇用担当者が、ストレスをため込まないためにも、オンとオフの切替えは、どのようにしたらよいのでしょうか。  う。障害のある人が置かれている状況について理解を深めることは、業務のモチベーションアップにもつながると思います。 「プライベートの時間に、仕事のことが頭から離れない」という状況は、障害者雇用の仕事にかぎったことではなく、ほかの仕事でも起こりうることです。その場合、どこまで対応するかは個人の判断に委ねられることが多いと思います。障害者雇用であっても同じです。例えば、「業務時間外のプライベートの時間にも、障害のある社員から悩みごとの相談がある」といった場合、職場の同僚として、相談に乗ってあげられる状況にあるならば応じればよいし、それを負担と感じたり、緊急性がない場合は「明日、会社で話しましょう」と伝えても問題はないと思います。障害者雇用は、障害のある社員を「特別扱い」するものではありません。一般的なルールの範は疇ちで伝えるべきことは伝え、人として対等に向きゅう合う姿勢が大切だと思います。*  *  障害者雇用は、障害のある人の人生ん にかかわる、大きな責任をともなう仕事です。そして、その分、障害のある社員の成長を肌で感じ、ともに成長できるという喜びもあります。そこにやりがいを感じられることが、モチベーションアップの秘訣なのではないでしょうか。*  *  *  困ったときは…寄 稿働く広場 2023.11支援機関名おもな支援内容 企業は、外部の支援機関と連携しながら障害のある社員を支援することで、障害者雇用をスムーズに進めることができます。またそれが、障害者雇用担当者の実務的・精神的な負担を軽減させることにもつながります。 そして、支援機関が開催する勉強会などは、障害者雇用に関するノウハウを学べるだけではなく、企業の障害者雇用担当者同士が業種をまたいでつながり、情報交換をしたり、互いに悩みを相談したりする場にもなっています。そのほかに、障害者雇用担当者のメンタル面の相談窓口として、外部のカウンセリング機関を利用している企業もあります。 障害者就業・生活支援センターの立場として、企業側に障害者雇用の担当者がおられることは、日々たいへん心強く感じています。多くの担当者が職場適応援助者や障害者職業生活相談員の研修や講習を受けられ、職業リハビリテーションやソーシャルワークといった共通視点・言語を持たれることが、外部の就労支援機関と連携を容易にし、当事者の安定した職場定着につながっていきます。また、今回の座談会でもありましたように、担当者のみなさんは障害特性の理解にとどまらず、上司、同僚としてきちんと向き合っておられ、そのことの重要性に触れられていました。 現在、障害のある方の雇用を支える側の研修や資格などのあり方が議論されています。今後さらに障害者雇用の機運が高まっていくなかで、これまで以上に負担が増えることも予想され、担当者の育成とキャリア形成の視点、担当者を支える仕組みや処遇の改善なども求められていきます。また同時に、これから取り組もうという中小企業の担当者に、経験者がこれまでの経験を共有していくことも大切です。そういった点では、身近な地域で、立場を超えて支える“にない手同士”の情報交換や交流が、これまで以上に求められていくのではないかと、あらためて気づかされました。今後、そうしたネットワーク構築を深めていけたらと思いました。ハローワーク障害者職業・生活支援センター就労移行支援事業所・就労に必要な訓練など特別支援学校障害者職業能力開発校地域障害者職業センター高齢・障害者業務課・求人に関する支援・障害者雇用率達成指導など・就職・職場定着に向けた支援・生活支援、健康管理、金銭管理などの日常生活の助言・職業教育、職場実習など・職業訓練など※障害者職業能力開発校全国19校(国立13校、都道府県立6校)のうち、2校はJEEDが運営・事業主への相談・援助・ジョブコーチ支援・リワーク支援など・障害者雇用納付金等の申告・申請や助成金申請の受付、「障害者職業生活相談員資格認定講習」の開催、障害者の雇用事例の紹介など障害者就業・生活支援センターTタラント特定非営利活動法人わかくさ福祉会 理事長、精神保健福祉士ALANT センター長、 27障害者雇用担当業務のこれからに向けて■企業を支援する機関とおもな支援内容

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