働く広場2023年11月号
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(1)アンケート調査(2)ヒアリング調査うち、13校の障害学生支援部署やキャリア支援部署の担当者を対象としたヒアリング調査を2021年8月から10月に実施しました。就労支援の課題としては、未診断の学生が少なくない現状をふまえ、障害の自己理解を促進することが基本的な課題となっていることがわかりました。就職活動のつまずきを契機として発達障害特性が顕在化する学生の存在が多くの大学等から報告され、卒業までに時間がないなかで障害の自己理解をうながしながら就労支援を行う困難さが指摘されました。制度・環境面の課題として、就労支援機関の情報不足や利用制限、学内支援体制の人員不足等が報告されました。新卒応援ハローワーク56所および地域障害者職業センター(以下、「職業センター」)52所(5支所を含む)を対象としたアンケート調査を2021年8月から9月に実施しました(回収率:新卒応援ハローワーク64・3%、職業センター発達障害学生の利用状況は図2のとおりであり、職業センターの利用状況は新卒応援ハローワークと比較して診断のない学生の利用を確認できたところが少なく、障害者を対象にしている機関であることの影響が推察されます。ハローワーク2所、新卒応援ハローワーク1所および職業センター4所の担当者を対象としたヒアリング調査を2021年12月から2022年1月に実施しました。(※1)とは別に、「発達障害のある学生の就労支以下同じ)における発達障害学生の利用開始時期としては、卒業年次の4月から5月が最も多く、次いで卒業年次の秋ごろが多いことが報告されました。職業センターでも卒業年次に利用する発達障害学生が多いようです。未診断のケースは障害者手帳の取得や障害者施設の利用に抵抗感があること等、職業センターからは職業評価を実施してもその後に必要な職業準備支援につながらないケースがあること等の指摘がありました。卒業年次より前から相談支援を開始し、自己理解の深化や課題の改善等を時間をかけて段階的に支援することが必要であるとの意見が多数出されました。事例や参考情報をわかりやすく提供し、積極的な活用をうながしていくため、調査研究報告書援に向けて−大学等と就労支援機関との連携による支援の取組事例集−」(※2)を作成し、障害者職業総合センターホームページに公開しています。ぜひご覧ください。ハローワーク(新卒応援ハローワークを含む。就労支援の課題として、ハローワークからは本調査研究において収集したさまざまな取組就労支援機関における発達障害学生の就労支援に関する調査4 おわりに働く広場 2023.11※2  支援の取組事例集は、下記ホームページからご覧いただけます。https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai77.html◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp)92・3%)。新卒応援ハローワークの利用状況地域障害者職業センターの利用状況  3     図2 発達障害学生の利用状況発達障害の診断がある学生の利用あり発達障害の指摘がある学生の利用あり発達障害がうかがわれる学生の利用あり発達障害の診断がある学生の利用あり発達障害の指摘がある学生の利用あり発達障害がうかがわれる学生の利用あり22.9%83.3%80.6%27.1%86.1%85.4%29

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