――重度の聴覚障害がある中川さんは、小中学校は通常学級に通ったそうですね。中川 た私を親が心配して病院に連れて行き、重度の感音性難聴と診断されました。自分の発音も聞こえません。小学校は自宅から近い公立の通常学級に入学しました。親が学校に相談し、先生はクラスメートに私のことを伝えてくれていたようです。動きで理解できる部分もあり、身ぶり手ぶりや筆談を交えて周囲と意思疎通を図っていました。授業では、先生の口の動きを読み取りやすいよう前方の席でしたが、それでも不十分なので、ことばの教室(言語通級指導教室)(3ページ※2)で補習を受けました。さらに自宅で予習復習をしても、授業についていくのが精いっぱいでした。ただ美術だけは得意で、手先を使った工作なども大好きでしたね。聴器を取られるようないじめにもあったり、負けず嫌いな私はケンカもしたりしました。それでも総じて、通常学級に通って本当によかった1歳のころ、大きな音がしても起きなかっろう学校幼稚部と通常の保育園の両方に通い、当時の私は手話ができませんでしたが、口の友だちとの遊びには困りませんでしたが、補通常学級で広い世界を知る働く広場 2023.11 2なかがわ・なおき1986(昭和61)年、埼玉県生まれ。2010(平成22)年、鶴見大学歯学部歯科技工研修科修了、埼玉県内の歯科技工所に就職。現在は株式会社中田デンタル・センター(東京都)に勤務。2018年、第38回全国アビリンピック(沖縄県)の「歯科技工」種目で金賞、2023(令和5)年、第10回国際アビリンピックフランス・メッス大会の同種目で金賞受賞。(株式会社中田デンタル・センター勤務)※1 本誌2023年2月号で「第42回全国アビリンピック」を特集しています。https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/202302.html本誌2023年6月号で「第10回国際アビリンピック」を特集しています。https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/202306.html第1回歯科技工種目金メダリスト中川直樹さん 本誌でも毎年、特集記事として紹介しているアビリンピック(※1)。2023(令和5)年3月、フランスのメッス市で開催された「第10回国際アビリンピック」には、日本選手30人が17種目に出場、8人がメダルを獲得した。 今回は本誌連載コーナー「この人を訪ねて」の特別編として、同大会で日本選手団唯一の金メダリストに輝いた中川直樹さん(埼玉県)に、大きな夢を叶えるまでの道のり、国際アビリンピックでの経験やこれからについて語っていただいた。(文)豊浦美紀 (写真)官野 貴仕事とアビリンピックで仕事とアビリンピックで「挑戦を楽しむ」人生に「挑戦を楽しむ」人生にメダリスト〜第10回国際アビリンピック〜
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