働く広場2023年12月号
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メイト”という呼び名を採用しました」との連絡が来ることもあるという。名づけ親は、入職6年目のEさん(47歳)だ。以前は和菓子店で製造販売の仕事をしていたが、「もっと人と接する仕事がしたい」と転職を決意。いまは老健センターでシーツ交換から配膳・下膳、利用者の手指消毒、物品補充のほか、趣味でたしなんでいたパソコンを使ったデータ入力なども担当している。「吃き音おがあり、うまく伝えるのが苦手です」と明かすが、上司の水野さんは「急な業務依頼にも対応しつつ、いつもにこやかで周囲をなごませてくれます。私も見習いたい存在です」と伝えてくれた。 「周りから『ありがとう』といわれ、新しい業務を依頼されると、自分が必要とされていると感じますし、挑戦できることもうれしいです」と語るEさんは、昨年ケアメイトで唯一の「キャリアアップ職員」になった。その前年の2021年に、博愛会はケアメイトのキャリアアップの道筋を明確化したのだ。入職時は非常勤・パートタイム勤務でのスタートだが、年1回の評価と本人の希望をもとに、80点以上でフルタイム勤務・月給制のキャリアアップ職員(嘱託)、そこから1年以上の勤務で90点以上の評価を得ると正職員になることを選べるようになった。今後はスキルアップの環境整備に力を入れていくという。成松さんが説明する。 「職場内で外部資格の取得を支援したり、リーダーなどの役職を設けたりするほか、社内独自の資格もあってよいと思います。一定のスキルについて社内認定する仕組みがあれば、ケアメイトのみなさんが車いすを押せるとか、身体介護や排せつ介助の一部を手伝えるようにもなり、より戦力化が進むと考えます」こうした博愛会の一連の取組みは、福岡労働局と福岡障害者職業センターが共同で6月に開催したワークショップで、参加した医療業の障害者雇用担当者に紹介され好評だったそうだ。また、2024年3月に、「医療機関の障害者雇用ネットワーク」と福岡障害者職業センターが福岡市内で開催する医療業向けのセミナーにおいて、博愛会などの取組みが紹介される予定だという。博愛会では、障害者雇用とともに「健康経営Ⓡ」(★)の取組みも積極的に推し進め、今年も経済産業省の「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定され、7年連続となった。呼子さんは「障害者雇用にかかわる取組みが、職場のメンタルヘルス環境の改善にもつながるという外部の研究結果を知り、私たちも実感しています」と説明したうえで、こう断言する。 「採用活動においても、健康経営の取組みは大きなアピールポイントになっています。とくに最近は、特別支援学校の新卒採用で企業の参入数が増えてきています。ほかの企業に負けないよう、いかに働きやすい環境を整えるかが重要です」今後の目標は、ケアメイトを50人まで  9んつ    増やすことだと呼子さんはいう。 「いまも現場から増員してほしいとのリクエストが途切れませんし、業務の幅も広げていきたいと思います。人材不足が叫ばれている医療・介護の現場だからこそ、みんなで支え合い、一人ひとりがやりがいを持ちながら、だれもが『ここで働いてよかった』と思える職場にしていくことが大切だと考えています」「健康経営」にもつながるアンケートのパソコン入力を行うEさん★「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。5階フロア介護主任の水野宏一さんDさんは、細部まで注意を払いベッドシーツの交換作業を行っていた働く広場 2023.12

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