イ 重要と思うが実施は少ない取組みウ 組織によって実施状況のばらつきが大きい取組み(4)就労支援機関の就労支援力向上のポイント1141141164 5 まとめおわりに(3)就労支援機関における人材育成の取組み状況重視して実施している取組みア 112945760 に対応した就労支援ができる知識とスキル」を有する者という結果でした。組織管理者に対して、人材育成の組織的取組みの実施状況を質問したところ、支援事例・記録の共有が最も多い取組みでしたが、人員不足や多忙により、業務に手一杯で後回しになりがちなため、重要と思うが実施は少ないという取組みも多くありました。特に、支援ノウハウの言語化・共有の取組みは、組織によって実施状況のばらつきが大きい取組みでした。 「各支援者が支援で困ったことがあれば、いつでも他の支援者やスーパーバイザーが相談に乗る」、「支援事例は組織内のケースミーティングで検討し共有する」、「支援内容と支援成果の記録により、組織での効果的な支援の蓄積・共有と改善に取り組む」はいずれの機関種別でも「重視して実施している」が60%を超えており、実施率が高いという結果でした。 「学会や研究・実践発表会、論文投稿などで、専門職としての支援ノウハウの整理や共有化を積極的に進める」、「人事評価等で、就労支援者のキャリアの段階や達成目標を明示して計画的に人材育成を進める」取組みは、いずれの機関種別でも「重要と思うが実施は少ない」が60%を超えていました。 「組織内だけでなく、地域関係機関とケースマネジメントの連携体制で事例検討やノウハウの共有を図る」、「組織内の支援ノウハウなどを言語化・文書化して、支援者同士で共有し、引き継ぎをスムーズに行えるようにする」、「地域関係機関との連携や役割分担の進め方を言語化・文書化して、関係機関の人事異動があっても引き継げるようにする」など、組織内や地域の機関との間で役割や支援ノウハウを共有する取組み(以下、「支援ノウハウの言語化・共有」)は、組織によって実施状況のばらつきが特に大きくなっていました。各組織の知識・スキルなどの充足状況と就労支援の実績(一般就労移行者数や就職後定着率)や各組織の支援者が感じる課題解決状況との関係を明らかにしました。ここで、実績や課題解決の実感の向上との関係が明らかになった知識・スキルなどを「効果的支援ノウハウ」と定義し、この「効果的支援ノウハウ」向上に関係する要因(研修の受講、資格などの取得、人材育成の組織的取組み、就労支援経験年数、人事(※)を作成しています。ご関心があれば、障害異動の頻度、離転職者の多さなど)を統計的に分析しました。も「支援ノウハウの言語化・共有」の取組みと「支援事例・記録の共有」の取組み)の実施状況が、効果的支援ノウハウの向上に強く関係していることが明らかになりました。就労支援機関による就労支援の質の向上がますます重要となるなか、現状では、就労支援機関における知識・スキルなどの充足には組織間の格差が認められました。特に企業経営や雇用管理といった企業に関する知識や企業ニーズに対応した支援スキルの充足、最新の情報の収集と活用などが課題で、これらの底上げが重要です。組織として体系的にノウハウを共有する場をつくることやケースミーティングなどを行い事例を共有する取組みを行うことなどが重要であることも明確となり、そのような取組みを促進することも重要です。67」(※)では、今回ご紹介した内容以外にも、就労支援機関の人材育成に関連する様々なデータを掲載しています。また、就労支援関係者から「効果的支援ノウハウ」にかかる事例を収集し、その内容をわかりやすくまとめた「様々な関係者による職業リハビリテーションの事例集」者職業総合センターのホームページからご覧ください。その結果、人材育成の組織的取組み(なかで障害者の就労可能性を広げるために、地域のまた、就労支援機関の就労支援力向上には、本レポートの元となる「調査研究報告書№1※ 「調査研究報告書No.167」、「様々な関係者による職業リハビリテーションの事例集」は、下記ホームページからご覧いただけます。https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku167.html◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp)各障害者の生活・人生の支援ニーズに様々な工夫をして対応しようとする資質・能力(n=1,240)様々な仕事をうまく整理、組織立てて、手際よく、抜かりなく業務を遂行できる資質・能力(n=1,240)先行きが見えない状況や多様な意見がある状況でも精神的に安定して対処できる資質・能力(n=1,238)様々な関連制度やサービスを個別支援ニーズに合わせて活用できる知識とスキル(n=1,236)障害者各人が活躍できる仕事や職場の調整や開発ができる知識とスキル(n=1,235)様々な関係分野の支援者等と効果的に連携して就労支援ができる知識とスキル(n=1,234)企業の人材採用・育成や雇用管理・経営のニーズに対応した就労支援ができる知識とスキル(n=1,233)最新の就労支援手法や支援機器等、関連情報を収集して効果的に活用できる知識とスキル(n=1,228)202936352523273237406080100(%)391837133514353010372810332835233122就労支援担当者の充足状況(就労移行等の回答)図2 資質・能力・スキルのある該当者は全くいない該当者は少ない半数程度が該当該当者は多いほぼ全員が該当11
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