働く広場2023年12月号
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栃木県足あ利か市の「有限会社ココ・ファーム・ワイナリー」16ワイナリー東側の急斜面に開かれた葡ぶ萄ど畑は、195園生は、日中活動としてそれぞれの得意なことを活か秋、ワイナリーは仕込みの最盛期を迎える。契約農家ワイナリーで醸造されたワインは、2000(平成は、「社会福祉法人こころみる会」が運営する「指定障害者支援施設こころみ学園」で暮らす園生(利用者)の父兄らの出資によって設立されたワイン醸じ造ぞ所しだ。8(昭和33)年、中学校の特殊学級(当時)に通う生徒と担任教師の川か田た昇のさんによって開墾された。現在は、こころみ学園の葡萄畑として、知的障害などのある園生がワインの原料となる葡萄を育てている。この急斜面の畑は葡萄の生育に適しているだけでなく、園生の心身を鍛えるためにも重要な役割を果たしているという。し、椎し茸たの原木栽培、工芸品づくり、洗濯などの作業にあたる。葡萄栽培では、つる切り、傘かけ、摘て粒り、収穫などさまざまな作業を園生がになう。園生は「働きたい」という意欲が強いため、年齢を重ねてこれまで担当してきた作業が行えなくなっても、負荷の軽い作業に参加することが精神的な安定につながっているという。園生にとって働くことが喜びなのだ。から届いた葡萄をトラックから降ろす作業は、力自慢の園生が大活躍。選果台に葡萄を流す作業では、スタッフが行う選別作業の様子を見ながら、適量の葡萄を流す。選果台の上流で、枝や葉などを取り除き、葡萄を均一にすることで、スタッフが選別に集中できる。瓶詰めやラベル貼り、出荷などの工程においても園生が活躍する。さまざまな場面に採用されるなど、高い評価を受けている。また、園生の活動は、近隣の休耕田の草刈り、耕作放棄地を借り受けての葡萄栽培など、地域へと広がっており、近隣住民にとっても、園生は欠かすことのできない存在となっている。ぼるょうゅう葡萄畑の「草刈り」。園生がそれぞれのペースで作業を進めるワイナリーに併設されたカフェからは葡萄畑が一望できる傷んでしまった実を一粒ずつていねいに取り除く色づいた葡萄を狙うカラスを音で追い払う「摘粒」。「カラス番」は、働く広場 2023.1212)年に開かれた九州・沖縄サミットの晩餐会をはじめ、  きけい  うわうょ がし

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