はじめに法定雇用率を割り込み障害者雇用に取り組むこの10年間に「編集委員が行く」で、東北6県のうち唯一訪れていなかった青森県での取材である。八■戸■市で障害のある人の就労支援に伴走型で取り組んでいる「障害者就業・生活支援センターみなと」(以下、「みなと」)、「援事業所わーくみなと」(以下、「わーくみなと」)のみなさんにご協力いただき、スムーズに「株式会社共同物流サービス」(以下、「共同物流」)の取材が実現した。同社は、新鮮な海産物を味わうことができる港町の八戸市に拠点を置く、文字通り物流センターを運営する会社である。従業員数は約830人。青森県ではだれもが知る、スーパーマーケットやホームセンターの物流をになっている。今回、訪問させてもらったのは、八戸市内に七つある物流センターの一つである八戸低温物障害者就労移行支柳■杭■田■宏■行■さん(46歳)と、佐■藤■良■考■さん流センター。こちらで働く障害のある社員、(34歳)、取締役で管理本部長の盛■田■正■洋■さん、人事教育部部長の山■田■勇■太■郎■さん、八戸低温物流課課長の鈴■木■一■真■さんにお話をうかがった。障害者雇用に本格的に取り組み始めた ■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■ はこう打ち明けてくれた。「法定雇用率のは数年前。人事教育部部長の山田さんを割り込んで、障害者雇用納付金を納めたことがきっかけです」。その後、障害者雇用を強化すべく、さまざまな方を紹介してもらい、雇用した。その過程で、「障害のある人が安定して働くための基盤は職場にある。職場はそうした場を提供する義務がある」と感じ始めたそうだ。また、人材不足の折、「戦力としてもありがたい」と実感。社会的責任から始めた障害者雇用において、真剣に「戦力化」を考えるようになった。ちなみに、法定雇用率を割り込んだのは、2018(平成30)年度に法定雇用率が2・0%から2・2%に引き上げられたとき。それまでは、ハローワークなどを通して採用した障害のある人が働いており、未達成になることはなかった。そして現在は、16人の障害者(身体障害者4人、知的障害者7人、精神障害者5人)が働いている。障害のある人を採用するにあたって、さまざまな支援機関とのつながりが生まれた。特に精神障害者の採用に際しては、「わーくみなと」からの紹介がメインである。障害者雇用の担当者に就任したとき、山田さんはどのように感じていたのだろうか。 「当初は問題意識が薄かったのですが、障害者雇用納付金の額を見て、『取り組まなくては』と思ったことを覚えています。最初、障害者雇用についてはハードルの高さを感じており、いろいろな不安もありました。しかし、全社をあげて取り組まなければならないと思い、上司である取締役の盛田に相談しました」盛田さんは、「私は会社の規模を考えると、CSR(企業の社会的責任)としPOINT123取締役で管理本部長の盛田正洋さん人事教育部部長の山田勇太郎さん働く広場 2023.122018(平成30)年度に民間企業の法定雇用率が2.2%となり、本格的に取り組み始める社会的責任から始めた障害者雇用において、障害のある人の戦力化に取り組む送り出す側の支援機関と一体になり、人を育て、さらなるマッチングを見すえる21
元のページ ../index.html#23