支援機関のサポートを受け、戦力化。周囲の理解も進むて障害者雇用を重要視しなければならない、と感じました。また、働く機会を提供するのはわれわれの使命だとも思いました」と、ふり返る。しかし、ハードルとなったのはやはり、現場で働く従業員からの理解を得ることだった。八戸低温物流課課長として現場を担当する鈴木さんも、「最初は不安でしかなかった」と打ち明ける。また、「どんどん受け入れて、仮に生産性が落ちて収益が悪化したとしても、そこは会社がフォローしてほしい」という思いを抱いていたそうだ。 「まずは、『どのように仕事を教えていこうか』と考えました。しかし、『みなと』のジョブコーチさんが横について一緒に仕事を見てくださるというので、とても安心しました」ある程度仕事を覚えたところで、職場適応援助者(ジョブコーチ)は職場から徐々に離れていく。「いまでもよく覚えているのは、コンテナを洗浄する作業で使う機械の非常用ボタンが、とても小さくてわかりづらかったんです。そこで『みなと』のジョブコーチさんが、わかりやすい大きな表示を自作してきてくれました。本人の障害特性に応じて、どうすれば働きやすくなるかを考え、工夫してくれました」と、鈴木さんは当時の様子を教えてくれた。提案を受け入れて、即座に対応してく 物流のみなさんは柔軟に物事をとらえてれる企業担当者がそう多くはいないということを、われわれ支援者はよく知っている。しかし、「山田さんをはじめ共同くれる」と、「みなと」のスタッフは口をそろえていう。そして、鈴木さんは「適切な指示で教えれば、間違いなく仕事をしてくれる人たちだな」という手応えを、だんだんと感じるようになったという。さまざまな部門で障害のある人が働くようになった同社を、山田さんはどのように取りまとめていったのだろうか。 「どの部門も最初はやはり不安があるため、抵抗感もあるのだろうな、ということは感じていました。鈴木が在籍している物流部門も、約120人の従業員がおり、そこに『2人受け入れてください』と割と強引にお願いしました。一つ心強かったのはやはり、『みなと』さんからジョブコーチが入ってくださったこと。不安や悩みは抱え込まず、『みなと』さんのアドバイスをもとに進めていけばよいと伝えました」もう一つ、助けになったのは「マッチングの期間」があったことだ。この期間に生産性を落とさずに働けることがわかれば、正式に採用する。「例えばミスが多いとか、作業がとても遅い場合は、採用できない可能性もある。その前提で始めたのですが、こうした『障害者トライアル雇用制度』や『障害者委託訓練制度』を利用して入社した障害のある人は優秀な方ばかりで、全員がいまも働き続けています」。鈴木さんは障害のある人とともに働くなかで、「作業も早く、何が課題なのかわからないな」と感じるようになり、少しずつ任せる仕事の量を増やしていった。その空気は、周囲で働く人たちからも感じられた。各部門で働く障害のある人が増えるごとに、不安や抵抗感はどんどん八戸低温物流課課長の鈴木一真さん株式会社共同物流サービス八戸低温物流センター(写真提供:株式会社共同物流サービス)働く広場 2023.1222
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