働く広場2023年12月号
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各部門に相談係を配置発信しやすい環境になくなっていった。 「それからは、賛同者が徐々に増えてきたのです」と盛田さんはふり返る。 「そのおかげで会社が変わり始めました。どこの会社も数字を追いかけ、人は二の次。それではダメじゃないかと。人を大事にしてこそ、数字がついてくるのです。人も数字も、バランスを取りながら利益を上げていく会社にしたいと思っていました」柳杭田宏行さんは、「わーくみなと」から入社した一人だ。2週間の実習を経て、半年間のトライアル雇用へ。その後、正式に入社して3年になる。 「最初に『焦らなくていいよ』といわれたことが印象に残っています。『みなと』からジョブコーチの方がつきそってくださったのと、実習やトライアル期間があったことで、普通に就職するよりも安心感がありました」とふり返る。やはり、一番不安だったのは、社内の人たちとのコミュニケーションだった。困ったことがあるときに、だれに相談すればよいのか特に心配したが、「困ったときは職場のこの先輩に相談してください」と、あらかじめ声をかけてもらえたそうだ。鈴木さんは「柳杭田さんがいると、仕事がどんどん進んでいく」と、その活躍ぶりを評価している。それを聞いた柳杭田さんは「直接その言葉を聞けてうれしいです」と照れる。やはり直属の上司からプラスの評価を受けるのはうれしいものだ。 「働くうえではまだまだ不安なこともありますが、作業のイメージを自分のなかで組み立てられるようになり、作業に集中して時間が早く過ぎていくときがあります」との言葉からは、3年目の成長が感じられる。どうしたら、困ったときに当事者から発信がしやすくなるだろうか。共同物流では、各部門に「相談係」を指名し、「困ったらこの人に声をかけてもらう」という工夫をしているそうだ。また、リーダー役はわかりやすいように「赤い帽子をかぶる」などの目印があり、いつでも相談できるようにしている。ある物流センターでは、腕章を巻いている人に相談するなどのルールがあるようだ。もう一人、働き始めて6年目になる佐藤良考さんにもお話をうかがった。 「私も入社当時は、『人間関係がうまくできるかな』ということがとても不安でした。幅広い年齢層の方が働いている職場ですが、歳の近い方がいませんでした。それに私以外は女性ばかりなので、最初は『うまくやっていけるかな』と思ったのですが、おかげさまで助けていただきながら働いています」佐藤さんの働きぶりを見ていると、テキパキと業務をこなしており、とてもすがすがしい。「どう動けば周りがうまく回るかと、つねに気を配っています。先を読みながら動くことを心がけています」。佐藤さんが入社して以来、職場の雰囲気も少し変わった。鈴木さんは「周りは佐藤さんのお母さん世代ばかり。みんながやさしくなった、という話を聞いたことがあります。周りも最初は不安だったかもしれませんが、佐藤さんはしっかりとあいさつができる人。あいさつを大切にする年代の従業員からも受け入れられやすかったのだと思います。障害のある人に対するイメージも、変わったと感じます」と教えてくれた。お母さん世代の先輩たちは、作業に関        たという。それについて悩んだ時期もあっしては、ときに厳しく注意することもあったそうだが、知らず知らずのうちに鍛えられたのかもしれない。 「自分一人だけで働いているわけでは柳杭田さんは、ラベルの発行やカートの準備などを担当している八戸低温物流センターで働く柳杭田宏行さん働く広場 2023.1223

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