働く広場2023年12月号
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障害のある人のさらなる活躍に向けマッチングを広げるこうしていま、障害のある人が活躍する同社の姿があるわけだが、周囲の人たちからはどのように見えているのだろうか。 「支援者としては、とても信頼できる会社です。私たちの利用者さんを大事にしてくれるので、安心して送り出せます」と、「みなと」のセンター長で、「わーくみなと」管理者の工■藤■玲■子■さんはいう。先に紹介した佐藤さんも、「一人ひとりを大切にしてくれます」と言葉を添える。障害のある人が多く働く会社となり、山田さんはこう考えるようになった。「弊社のように従業員数が多い会社になると、考え方や感じ方が違う人とともに働くことになります。自分と違う考え方の人と一緒に、職場という小さなコミュニティを育んでいく。障害者雇用を通して、価値観を認め合える職場になれるよう、取組みを続けていきたいです」。最後に、今後の障害者雇用については、どのような展開を考えているのだろうか。 「先ほども少し触れましたが、弊社にはさまざまな作業があるため、一般的な物流業界で求められる『短時間ですばやく正確に』という基準以外の仕事もたくさんあります。つまり、例えば四肢に障害のある人や、理解に時間がかかるという人にとっても、活躍できる場があります。いまはまだ、そういった仕事を求めている障害のある人とのマッチングが十分にできている状態ではないのですが、今後は広げていきたいと考えています」と、山田さんはいう。それを聞いた工藤さんは、「支援者と    ■■   いました。マッチングについては、私たしてすごくうれしい話です。柳杭田さんも佐藤さんも、会社の戦力となり、なくてはならない存在に会社が育ててくださちも〝送り出す側の責任〟として、さらに会社を知る努力をし、頼りにしてもらえるような支援機関になりたいです」と話してくれた。柳杭田さんも佐藤さんも、夢は「旅行をする」ことだという。柳杭田さんは南の島へ、佐藤さんは東京へ行きたいそうだ。お給料を貯めて、年次有給休暇を使って、近い将来ぜひその夢を実現してほしい。     ●  共同物流が本格的に障害者雇用に取り組むきっかけとなったのは、法定雇用率である。しかし、同社は法定雇用率の達成のみに終わらず、戦力化することを目ざした。そのためにはマッチングが重要であり、障害者トライアル雇用制度や障害者委託訓練制度をうまく活用している。制度利用については、ハローワークなどで確認しながら進める必要があるが、このように、ハローワークが中心になってチーム支援を実践しているところにも魅力を感じた。「戦力化」についても、当事者の働きたい意欲や能力はもちろんであるが、企業の戦力化へ向けての取組み、そして行政を含めた地域の支援者、この三つのベクトルが一つになっている結果であろうと思う。また、会社のピンチをチャンスに変えて「トレーナー制度」や「採用教育部門」を整備した結果、職場環境が改善され、多様な人たちを受け入れる土壌をつくれたことが、共同物流が障害者雇用を成功させた大きな要因である。これからも障害者雇用の枠を広げようとする同社の取組みを楽しみにしたい。●  ●    障害者就業・生活支援センターみなと、障害者就労移行支援事業所わーくみなと障害者就業・生活支援センターみなと、障害者就労移行支援事業所わーくみなとのみなさんにお話をうかがった障害者就業・生活支援センターみなとのセンター長で、障害者就労移行支援事業所わーくみなと管理者の工藤玲子さん働く広場 2023.1225

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