働く広場2023年12月号
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1982(昭和57)年に創設された「特定医療法人財団博愛会」(以下、「博愛会」)は、「博愛会病院」を中心に、介護老人保健施設や在宅介護支援事業所、リハビリテーションセンターなどの地域包括ケア事業や、人間ドックセンター、生活習慣病センターなどのヘルスケア事業を多角的に運営している。障害者雇用率制度の除外率設定業種とされる医療分野でありつつ、いまでは職員数551人のうち障害のある職員が20人(身体障害3人、知的障害14人、精神障害3人)で、障害者雇用率は5・2%(2023︿令和5﹀年6月1日現在)だという。20人のうち16人は、看護・介護の周辺業務を行う“ケアメイト”と呼ばれている。この10年で着実に雇用を進めて1)に参加。また、福岡市立障がい者就きた現場の支援体制と、働くみなさんの様子を取材させてもらった。博愛会はこれまで、事務部門で身体障害のある職員を中心に採用していたが、2013(平成25)年の退職者によって障害者雇用率がゼロになった。その後、当機構(JEED)の福岡障害者職業センターが、障害者雇用に取り組もうとしている企業の障害者雇用担当者向けに主催している「事業主支援ワークショップ」(※労支援センターなどから助言をもらい、2015年、精神障害のある人と知的障害のある人の2人を採用したそうだ。配属先は病院のリハビリ室と老健センターだったが、うち1人が半年ほどで辞めてしまったという。当時を知る、法人事務部副部長の中な島し毅た彦ひさんが話す。 「仕事はリハビリ室の清掃がメインでしたが、本人にはもの足りなかったようです。マッチングがうまくいっていなかったのだと反省しました」一方の老健センター(100床)では、本人が前職で経験していたシーツ交換業務を柱に、仕事の幅を広げていった。ほかの職員から「とても助かる」との声もあがり、以降は年1人ずつ採用。いまは2017年にはデイサービスセンター(定員50人)での雇用も決まった。担当業務は、利用者の昼食のつぎ分けや洗い物、おやつの準備と夕方の清掃で、それまでシニア人材派遣機関やビル清掃会社に外注していた内容だ。正職員が行っていた入浴室・トイレの清掃も加わり、現在、定着に向けた工夫について当時、介護事業部門で事務長を務めていた呼よ子こ修し一いさんが説明する。 「特に中途採用の場合は、本人から『できること、やりたいこと』を聴き取り、現場の『してもらいたいこと』とすり合わせました。現場からの依頼業務が多いため、本人の希望を優先させながら1日の業務スケジュールを組み立てます。慣ゅう医療分野で雇用率5・2%「やりたいこと、できること」POINT123 こまかけ  ぶち    5(写真提供:特定医療法人財団博愛会)(後列左から)成松隆一さん、呼子修一さん、中島毅彦さん、(前列左から)松本孝子さん、田中素子さん、仲西千絵さん※1 事業主支援ワークショップ: 各地域の障害者職業センターが障害者雇用担当者をサポートすることを目的に行っている支援メニューの一つ。「雇用管理サポート講座」等の名称で開催している地域もある。「はじめての障害者雇用」、「精神障害者の雇用管理」といったテーマを毎回設定し、グループワークによる意見交換等で自社の問題解決の糸口をつかんでもらうことを目的とする博愛会病院20~30代の4人が配属されている。10~40代の7人が働いている。働く広場 2023.12現場でスムーズに進められるように、「障がい者雇用推進室」を軸に業務を調整医療業の障害者雇用に知見のある人を「外部アドバイザー」に企業在籍型ジョブコーチを専任で配置、よりこまやかな支援へ

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