2015年入社のAさん(40歳)は、「社会福祉法人希望の里福祉会益田障がい者就業・生活支援センターエスポア」(以下、「エスポア」)からの紹介で実習に参加したのが入社のきっかけだ。 「ここなら私も働けると思いました。夏にはスプリンクラーを設置して回ったり、周りに柵をつくったりする作業がたいへんです。たまに先輩から『そこ、苗植えとらんぞ』とか厳しくいわれますけど、仕事は続けられます」と笑顔を見せるAさん。いまは一人暮らしで、週1回訪問してくれるヘルパーと一緒に料理も学んでいるところだそうだ。職業能力開発施設「島根県立西部高等技術校」在籍時に、キューサイファームの実習に参加したというBさん(38歳)は、「現場の雰囲気がよく、屋外での作業は開放感があるので、しっくりきました」とふり返る。これまでいくつか仕事をしたなかで、8年目になるキューサイファームが一番長く勤めている職場だという。Bさんは最近、「生育調査」という仕事も任された。週1回、車で畑を回りながらケールの葉の成長ぶりなどを写真に収め、大きさや重量などを記録する。大佐古さんは、「畑を回ったついでにカラスや虫食いの害など気づいたことも報告してくれて助かっています」と頼りにしているという。 「収穫を迎えると『ああ今シーズンも終わる』という達成感があります。腰を痛めないよう体力を維持し、新しい業務があれば挑戦したい」というBさんは、8時から14時半までの勤務後、スーパーの棚卸しの仕事もかけ持ちしているそう にが りうまち8だ。営農課の永な谷た寿ひさん(54歳)は、以前はごみ収集会社で働いていたが、勤務先が廃業したため、エスポアの紹介で2017年にキューサイファームに入社した。「体力的にたいへんなときもありますが、さし仕事は続けられそうです」と話す。休憩時間に、畑のあぜに座って雑談をするのが楽しいそうだ。最近は糖尿病をわずらい、病院の指導で食事に気をつけた生活に努めているという。同じく営農課の栗く山や友ゆ一いさん(30歳)は特別支援学校を卒業後、清掃会社や車の修理工場、型枠大工の仕事などをしたが続かず、近所の人に紹介されたキューサイファームで2017年から5年弱働いた。妻の実家の家業を手伝うため退職するも、その後、戻ってきたそうだ。 「小中学校時代は野球、特別支援学校のときはサッカー部でキャプテンマークをつけて県大会で初優勝しました」と体力に自信をのぞかせる栗山さん。その一方で「周りの人たちとなるべく話すようにしています。困ったときに助けてもらえますから。一緒に作業をしながらアドバイスももらえます」と語ってくれた。栗山さんは職場の協力で大型特殊免許を取得し、トラクターに乗って有機肥料を撒まく作業なども任されている。勤務は1日7・5時間とフルタイムに近いが、課題は「休みがちになること」だという。その理由に、持病のぜんそくだけでなく家族を養う心理的負担感をあげ、対策は、「最近始めたウクレレや、大佐古さんと栗山さんは、トラクターでの 作業にもたずさわっている営農課で働く栗山友一さん移植器に新しい苗を投入する永谷さん(手前)作業にあたるBさん。生育の悪い営農課で働く永谷寿さん苗移植器を使い 補植を行うAさん(手前)苗を植え替える働く広場 2024.1
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