高齢の先輩たちと一緒に加工工場で働く2人農場長を務める太お田た洋よ介すさんにも話を聞いた。 「私も参加したハローワークの就職面談会では、ハローワークから『本人のできることとできないことを見きわめつつ、求めすぎないように』とアドバイスをもらいました。現場では、なるべく説明や指示をわかりやすく伝えることと、トラクターなど危険をともなう機械作業はしっかり切り分けるようにしました」ほかの従業員には、四橋さんが障害者雇用の必要性や一般的な特性などについてわかりやすく説明し、理解をうながしたそうだが、「みなさん、すんなりと受け入れてくれたようでした」という。農場で日々の作業を仕切る大佐古さんも、障害者職業生活相談員の資格認定講習を受けた一人だ。 「わかりやすい説明や確認を心がけていますが、彼らも一緒に作業をしながら質問をしてくれるので私も安心です。年の離れた現場の先輩たちが、彼らを孫のように指導し、たまに力仕事で頼っています。互いに支え合っている関係ですね」太田さんも「高齢の従業員と若い従業員が、和気あいあいと一緒に作業をしている様子を見て、よかったなあと思っています。今後は高齢でリタイアする人も出てくるはずなので、うまく世代交代していけるとよいと思います」と期待する。農場から車で10分ほど移動すると、ケールを液状や粉末状に加工する冷凍・乾燥工場(本社工場)がある。加工現場に入る従業員たちが白衣に着替えた後、手洗いをする「前室」が8カ所あり、手洗いシンクの洗浄や洗剤補充、手袋などの洗濯などの業務を、いまは2人の障害のある従業員が担当している。彼らは、ケールの収穫時期に合わせた緒に収穫に取り組み、それ以外の時期は、日ごろ手が回らない会議室や共有スペース、屋外で芝刈りや清掃などを行っているそうだ。 「工場内のトイレや廊下の清掃は、以前は業務課の従業員たちで行っていました。2人が通年で清掃してくれるようになって、いつもきれいになりました」と四橋さん。さっそく2人の働く様子を見せてもらった。廊下で黙々と掃除機をかけていたのは、2016年に入社した三み浦う徹とさん(32歳)。特別支援学校を卒業後に、袋製造会社やキノコ栽培所を経験したあと、県立高校の用務員として3年契約で働いたそうだ。3年目の契約期間終了前にエスポアの紹介で、キューサイファームでの実習を経験。午前中に清掃業務、午後は品質管理課でケールの搾さ汁じや器具洗浄などを行ったが、「両方するのはむずかしいので、清掃業務だけがいいです」と希望し、そのまま清掃担当となった。実習や入社初期には、ベテラン従業員に清掃手順やコツなどを教えてもらったそうだ。 「いまでは休憩時間や作業中に社員さんたちから『三浦くん、がんばっているね』などと声をかけてもらって、うれしくなります。今後も清掃のスキルアップ、レベルアップをしていきたいです」と意欲的に話す。三浦さんは18歳から、グループホーム く うおけら ム仲間でソフトボールチームをつくっての生活と一人で暮らす生活を、交互にくり返している。「同じ支援団体が運営しているので、一人暮らしをして食生活などに自信がなくなったらグループホームに移り、落ち着いたらまた一人暮らしに挑戦しています」。いまはグループホーゅうおる清掃作業にあたる三浦さん本社工場で働く三浦徹さん農場長の太田洋介さん働く広場 2024.111月~5月の繁忙期は、期間従業員と一10
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