岩手県盛も岡お市には、「盛岡冷麺」や「盛岡じゃじゃ麺」といった独特の麺文化が栄えている。この地で、麺の製造を手がける「株式会社中な野の製せ麺め」では、知的障害などのある社員が活躍し、地域の食文化を支えている。現在働く5人のうち、2人は30年以上勤務するベテラン。この日、麺生地づくりの作業をしていた矢や本も尚な幸ゆさん(47歳)もその一人で、製麺業務のほぼ全工程をオールマイティにこなす。麺を切り出す「麺線カット」作業を行っていたのは、留と場ば和か也やさん(27歳)。麺が注文通りの厚さや重さとなるように製麺機を調整しながら、切り出された麺を取り上げ、包装機へ流し込む。麺を袋詰めし、消費期限のラベルを貼りつけていた藤ふ原わ淳じ子こさん(50歳)もベテラン社員の一人。注文ごとに袋に入れる麺の数が異なるため、機械や手作業を使い分けて作業を行う。第二工場では、北き村む大だ吾ごさん(26歳)が箱詰め作業を行っていた。その作業の合間には、製麺機への打ち粉の補充、製品ラベルの発行など、さまざまな作業を手際よく進めていく。ここで生産された盛岡冷麺やスープなどは、全国の焼き肉店などに出荷されている。彼らの活躍が全国区での人気に一役買っているのだ。同社は2022年に「野菜工場」を新設し、LED光によるリーフレタスなどの栽培も始めた。同社が支援する多機能型事業所の利用者が栽培担当者になる予定であり、現在は藤ふ井い亘わさん(47歳)が、その指導を行っている。配送部門で働いていた藤井さんは、病気の影響で片足を切断するも義足を装着して復職し、野菜工場の要となっている。同社では、人手不足を救う貴重な人材として、今後も障害者雇用を積極的に行っていくという。ゅんたる じ いらたらじ ずめ ときおかいん かり④圧延機を使い、生地を帯状に加工する⑤帯状の生地を重ねて生地を鍛える「複合」の工程①材料をミキサーに投入する矢本尚幸さん②小麦粉や水などの材料をミキサーでかくはんする③かくはんした生地をミキサーから取り出す働く広場 2024.1麺生地づくり16
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