に在籍していた生徒や、学習面の伸び悩みや不登校を経験してきた生徒、コミュニケーションをとることが苦手な生徒の入学が多く、性格もおとなしいタイプが多いという。そのため、学校側としては「まず最初に学校に慣れるよう配慮し、そして不安を抱かず毎日安心して通えるようサポート。次にワープロ・情報処理・ゲームプログラミングなどの勉強を通して自己の向上を目ざして自信を回復するとともに、専門課程や大学への進学、就職への目標をもって日々の授業に取り組めるよう教員が寄り添い、生徒が主役になれるように」との方針を掲げ、取り組んでいる。生徒の障がいの種類は、自閉症やアスペルガー症候群などの発達障がい、精神障がい、知的障がい、身体障がいなどさまざまだが、現在は生徒全体の3〜4割ほどが「障害者手帳」の所持者、または所持見込みの生徒となっている。理数系は苦手だが文系は得意、逆に理数系は得意で文系は苦手、もしくは「読む」、「書く」、「計算する」ことなど、学習に必要な分野で困難のある学習障がいの生徒もいる。最初は「毎日通学できるか」、「授業に 前述の学校方針にあるように、教員が一ついていくことができるか」、「学校生活を送ることができるか」といった不安を抱えながら入学する生徒が多い。しかし、人ひとりの個性・特性に配慮しながらサポートし、授業の内容も基礎から教えるため生徒に安心感が芽生えていくという。また、自分と同じように勉強に悩んできたり、いじめを経験してきたりした生徒が多いことで、共感し合える機会も多い。おとなしい性格の生徒も、似たタイプのクラスメイトが多いため、比較的友人ができやすい環境となっている。そして、以前の学校生活では孤立して疎外感を感じ不登校になっていた生徒でも、名情専に入ってからは元気に登校できるようになる、といったことが起きている。さらに、障がいのない生徒も在学しているため、そのような生徒がほかの生徒の勉強でわからない点を率先して教え、面倒を見るといったこともあるという。このように、さまざまな生徒を受け入れている学校はほかではあまり見受けられないため、非常に感心した次第である。高等課程の授業内容は、国語、英語、数学、体育などの「普通教科目」と、情報テクノロジーなどの「専門教科目」がある。高等課程1年次では小学校・中学校の復習をメインにすえており、苦手科目の克服も行っているが、集団で授業に取り組むことにより、勉強や体育の楽しさや、わかること・できることの喜びを知り、自信を芽生えさせる授業の展開に努めている。入学前に、特別支援学級に在籍している生徒の進路相談を受けることもある。その際は直接名情専に来てもらい、教育方針や教員のサポート対応などを説明するとともに、親御さんからご本人が抱えている悩みや障がい特性を聞いて、認識合わせを行っている。専門課程での教育方針は、社会人として必要な「人間力」=「自ら考え行動し、当たり前のことが当たり前としてできる力、相手の目線にたった考えを持ち、どんな困難があっても決して諦めない力」を養うこととしている。授業は各種パソコンスキル、CAD、情報処理技術、WEBデザイン、プログラミング、サーバ構築などの情報処理関係の科目と、簿記やビジネススキルなどそのほかの科目があり、高等課程の3年間も含めて、さまざまな検定試験合格の実績が多くある。また、障がいのある生徒のみを対象とした「就業力育成コース」があり、名情専の特長の一つとなっている。このコースでも「人間力」の醸成を方針として掲げ、障がいのある生徒が自立・自律し、社会で活き活きと働いていくために、学びを机上だけに頼らず「個々の力、共同・共働力、自己他己理解、自立・自律心、生活調整力・仕事を楽しむ力」を養う教育を行っている。なかでも、実際の業務を想定した授業「ジョブトレーニング」に力を入れており、教育内容ジョブトレーニングの一つ、パッキンをはめる作業(写真提供:学校法人名古屋学園名古屋情報専門学校)「ジョブトレーニング」では、さまざまな業務体験を行う(写真提供:学校法人名古屋学園名古屋情報専門学校)働く広場 2024.122
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