働く広場2024年1月号
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気分障害等の精神疾患で休職中の方のための仕事の取組み方と働き方のセルフマネジメント支援【新たな開発・改良の背景】【キャリア講習の改良】障害者職業総合センター職業センター(以下、「職業センター」)では、気分障害などの精神疾患をともなう休職者の職場復帰や雇用安定のための「ジョブデザイン下、「JDSP」)の実施を通じ、ストレス対処、対人技能などの職場復帰支援に関する先駆的な職業リハビリテーション技法の開発および普及に取り組んでいます。成果を取りまとめた冊子「仕事の取組み方と働き方のセルフマネジメント支援」(支援マニュアル№23、2023〈令和5〉年3月発行)(※1)の概要をご紹介します。開発等の背景として、①先行調査研究では、地域障害者職業センター(以下、「地域センター」)の職場復帰支援(以下、「リワーク支援」)に対 ・       サポートプログラム」(以ここでは、「キャリア講習」、「社会人基礎力講習」、「テレワークのためのセルフマネジメント講習」の開発・改良のして「休職していない社員を含めた、メンタルヘルス不調の予防・改善のための企業への助言、社員への協力等」を期待する企業が有意に少なかった半面、「業務遂行力の回復」などが多かったこと、②若年休職者へのリワーク支援に際し「職業経験の少ない若年者にキャリア講習を行う難しさがある」、「自己理解・自己分析を進めにくい」などの指摘があったこと、③テレワークなどに対応する支援技法の開発が地域センターから求められていたことなどがあげられました。職業センターが2017(平成29)年度に開発したキャリア講習カリキュラム(支援マニュアル№17「ワーク基礎力形成支援」)の一部を、先述の背景をふまえて改良しました。従来の講習でも、利用者が会社から期待される役割とその遂行状況、職場や生活のなかのストレス要因をふり返り、休職の要因を明らかにして、対処方法を検討する場が、数多く用意されていました。そこでは、ほかの利用者からの意見や質問によって、自分とは異なる価値観、障害者職業総合センター職業センターとらえ方や知識がもたらされることが、自分の経験を再評価するきっかけとなっていました(下図)。うに職業経験が少ない利用者の場合、自分の経験を他者に伝えるための言葉を持ち合わせていないため、ほかの利用者との間で共有しにくく、また、ほかの利用者にとっては、どのような質問や意見を出せばよいのかもわかりにくい状況でした。事前の講座のなかで、①肩書等の「外的・客観的キャリア」と、仕事上のやりがい等の「内的・主観的キャリア」との、二つの対比の視点、②人生や仕事の転機の乗り越え方の視点など、キャリアの分析の手がかりとなる知識を学習する場を設けました。をふり返り、仕事で大変だった経験、充実した経験、仕事を乗り越えた経験、仕事に取り組むうえで自分なりに大切にしていたことなどを、ほかの利用者に対して説明し、これを受けとめたほかの利用者から前向きなフィードバックを返してもらうことで、自分のキャリアの意味を確認し、復職後の仕事や人間関係に向け、自信ただ、若年者のよそこで、ほかの利用者に説明しやすいよう、次に、学んだ知識を使って、自分のキャリアほかの利用者からの質問、意見ほかの利用者からの質問、意見経験の経験のふり返りふり返り経験の説明※1  支援マニュアルNo.23「仕事の取組み方と働き方のセルフマネジメント支援」は、下記ホームページからご覧になれます。https://www.nivr.jeed.go.jp/center/report/support23.html働く広場 2024.1支援マニュアルNo.2328

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