働く広場2024年1月号
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うして在宅勤務社員の支援体制を確立させていきました(図参照)。一連の取組みは、2020年度の厚生労働省「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」で特別奨励賞を受賞しました。――三菱商事に戻ってからは、グループ全体の障がい者雇用推進に取り組んでいるそうですね。福元 三菱商事のグループ会社を調べてみると、障がい者雇用の取組みが途上である企業もありました。三菱商事側に「グループ会社向けの支援施策の拡充が必要です」と説明し、本腰を入れて向き合う取組みをスタートさせました。私自身も障がい者雇用の取組みが途上であるグループ会社を訪問し、「一緒に一歩ふみ出してみましょう」と働きかけましたが、やはり担当者から聞かれたのは「どう対応したらよいのか不安だ」との声でした。そこで2023年3月、三菱商事グループの職場支援者たちの〝駆け込み寺〟的な存在として立ち上げたのが、合同相談窓口「MCグループ障がい者就労サポートデスク」(ショウサポ)です。障がい者の就労支援などを手がける会社と共同運営し、受入れ部署や支援担当者からの個別相談に対応しています。また人事部では定期的に雇用推進のための社内セミナーも開催していますが、その内容を動画で配信するポータルサイト「障がい者雇用促進チャンネルS■HOKOC■HANNEL」を2023年4月にスタートしました。三菱商事グループの経営幹部層、人事担当者、受入れ部署などの各層に向けて、「業務切り出しのコツ」、「ケースごとに考える対応」、「テレワーク事例」といったテーマごとに数分〜十数分のショート動画を用意しています。いまは文章よりも動画で理解することに慣れた人が多いことを見込んで、あえて動画にしました。この編集作業などを担当しているのが、2023年9月に、1日5時間勤務の条件で採「青に近い黄色信号」が出ると上司や支援者用した三菱商事本社嘱託社員で、宮崎県在住の精神障がいのある男性です。かつて東京で専門商社に勤めていた経歴があります。じつは彼は、三菱商事による完全在宅勤務の障がい者雇用第1号でもあります。遠隔地でもスムーズな業務・労務管理をするために、2023年9月に、外部の障がい者テレワークシステムや体調管理サポートツールを導入しました。体調管理から勤怠管理、タスク管理、ファイル共有などをシステムサービスで完結でき、とても便利です。例えば体調管理であれば、スマートフォンのアプリで本人の「セルフケア」をうながすプログラムを設定してもらい、毎日、自分の体調を選択式で入力してもらいます。日々のデータの積み重ねで本人の体調変化を読み取り、に自動アラートされます。これまで「赤に近い黄色信号」になるまで気づかれなかったSOSを、いち早く自動的に知ることができます。今後はグループ会社でも活用してもらいたいと考えています。――三菱商事グループの障がい者雇用について、今後の見通しを教えてください。福元 これまで三菱商事では、障がい者雇用に算定されているのは私を含めた身体障がい -■■■■■■■ 図    4グループ会社の雇用推進へ障がい者雇用のあり方の転換※1 「福元邦雄の千朝千話」https://www.kuniofukumoto.com/(資料提供:三菱商事太陽株式会社)働く広場 2024.1

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