働く広場2024年3月号
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企業連携職業訓練ジョブコーチ支援そのあとに仕事の幅を広げていくことを想定している﹄という方針を聞きました。こうした採用後のイメージができていると、マッチングから定着まで円滑に進むケースが多いですね」そして同年12月に白青舎は、職リハセンターの希望者を対象に職場見学会も行い、「通勤や職場内の移動に問題はないか」といった点を確認してもらったそうだ。また採用活動と同時並行で、高橋さん      6業務の切り出し作業に取りかかった。まは社内に事務サポートチームを立ち上げ、ずは本社にある人事部への配属を前提に、データ入力や資料管理といった事務業務をいくつか用意し、本人の得意不得意に合わせて絞り込んでいくことにした。高橋さんは、「本社には現場の管理職も出入りするので、障害のある従業員が働いている姿も見てもらい、戦力になることを知ってもらう機会にしたいとの狙いもありました」と説明する。白青舎は2022年3月中旬、職リハセンターのサポートを受けながら、視覚障害のある訓練生2人を対象に「企業連携職業訓練」(※)と呼ばれる職場実習を1週間行った。内容は、パソコンを使った社内向けポスター作成やデータ入力、集計作業などだ。実習に合わせ、JEEDが運営する「中央障害者雇用情報センター」(東京都)による就労支援機器の貸出事業を活用し、「拡大読書器」と「音声読み上げソフト」を無償で6カ月間借りたそうだ。高橋さんによると「実習を始める際には、職リハセンターの職業訓練指導員も来て、実習生の視覚障害の特性に応じて、パソコンを含めた作業環境の設定などをしてくれました。どのようにデスク周りを整えればよいかがわかり、たいへん助かりました」という。 「実習では、2人のパソコン操作のスピードが思っていたよりずっと速く、ポスターも難なく自力で作成したのは驚きでした。職リハセンターでは関数についても学んでいたようで、さっそく希望していた表をつくってもらえました」職リハセンターの松坂さんは、企業連携職業訓練について「それまで本人を担当してきた職業訓練指導員が、実習中も現場で必要な指導やアドバイスを行っています。企業側にとっては、具体的な指導方法を垣間見ることができるよい機会にもなっているようです」と説明する。職場実習の1カ月後に実施したオンライン面接を経て、そのまま2人の採用が決まった。入社に合わせて白青舎では、JEEDの「障害者作業施設設置等助成金」の認定を受け、拡大読書器と音声読み上げソフトの購入費用の3分の2が助成された。さらに職リハセンターのアドバイスを受け、JEEDの「東京障害者職業センター」(東京都)による職場適応援助者(ジョブコーチ)支援も利用。「視覚障害者支援施設に所属する訪問型ジョブコーチに何回か職場に来てもらい、本人の障害の特性や希望に沿って、関数の使い方※企業連携職業訓練: 障害者の雇入れを検討している企業との密接な連携により、特注型の訓練メニューによる職リハセンター内での訓練と実際の企業現場での訓練(企業内訓練)を組み合わせた職業訓練および採用・職場定着のための支援。 https://www.nvrcd.jeed.go.jp/fi les/support_01.pdfマスコット人形が取りつけられたハンガー装置上に置かれた印刷物がモニターに拡大表示されている「拡大読書器」の例。働く広場 2024.3

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