「義肢」とは、病気やけがで手足を失った人が使用する義手や義足のことです。足に装着する義足は、生活用とスポーツ用で仕様やつくり方が異なります。生活用義足が日常の歩行をスムーズ に行えるように設計されているのに対し、スポーツ用義足は、着地面との反発を利用して前進する構造になっており、走ることを目的としてつくられています。着地面にカーボンファイバー製の「板バネ」と呼ばれる部品を使用し、ふみ込む力の強さによってその厚みを変え、強度を調節しています。競技種目や練習によって変化する筋肉量を推測しながら義足を製作、調整を重ねていきます。最近のパラスポーツの大会ではさまざまな装具の進化を目にしますが、日本でスポーツ用義足第1号が製作されたのは2000(平成12)年のこと。海外ではすでにカーボン素材を使用したスポーツ用義足が使用されていましたが、当時の日本にはその素材がなかなか入ってきていませんでした。入手できたとしても高額であったため、利用者の負担で何度も試作することはできません。 「公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンター」(以下、「義肢装具サポートセンター」)では、施設の研究費でこうした素材を購入、試作・フィールドテストをくり返しながら、スポーツ用義足の開発・製作を進めてきたそうです。パラアスリートには、もともとスポーツをしていた人、運動神経のよい人もたくさんいますが、手足を失って落ち世界に通用する丈夫な素材、テストをくり返し実用化へ利用者の声を技術開発へ活かす取組み1公益義財肢団製法作人鉄道弘済会義肢装具サポートセンターパラアスリートを支えるスポーツ用義足つくるだけで終わらせない臼うす井い二ふ美み男お取材協力さん 1969(昭和44)年5月に「東京身体障害者福祉センター」として発足。義肢装具の製作から装着訓練に至るまで、一貫した諸サービスを提供する総合的なリハビリテーション施設。義肢製作前の診療も同施設内で対応し、医療・製作チームが連携して利用者のサポートを行っている。板バネを使用したスポーツ用義足義肢装具研究室長 義肢装具士 「東京2020パラリンピック競技大会」を契機に、注目を浴びているパラスポーツ。第3回は、パラアスリートの活躍を支える義肢、車いすなど各種装具の開発・製造に取り組む団体や企業を取材。公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンターと、株式会社オーエックスエンジニアリングにお話をうかがいました。働く広場 2024.4第3回第3回公益財団法人鉄道弘済会 義肢装具サポートセンター〒116-0003 東京都荒川区南千住4-3-3TEL03-5615-3313https://www.kousaikai.or.jp10クローズクローズアップアップ障害のある人とスポーツ障害のある人とスポーツ〜パラアスリートを支える装具〜〜パラアスリートを支える装具〜
元のページ ../index.html#12