働く広場2024年4月号
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こんだ気持ちを乗り越えて元気になってほしいという周囲の励ましからパラスポーツを始め、パラアスリートとして第二の人生を歩む方も多いそうです。義肢装具サポートセンターでは、施設の利用者からスポーツ用義足のレンタル希望者を募ったり、同センター義肢装具研究室長の臼う井い二ふ美み男おさんが代表を務める義足ユーザーコミュニティ「スタートラインTokyo」が月に1回開催する、だれでも参加できる義足ランニングの練習会へ参加を呼びかけたりしています。こうして、より多くの人に義足に親しんでもらい、実際に義足を使う利用者の目線から開発・改善のヒントを得るという活動も行っています。義肢装具サポートセンターでは、約千件もの義肢装具が製作されています。臼井さんのもとには、全国から「義足をつくってほしい」という方たちからの電話がたくさんかかってきます。 「この30年で、日本国内における義足製作は大きく発展しました。素材も木製やアルミ合金が主流だったころに比べ、現在ではチタン合金やカーボンファイバーといった軽くて丈夫な素材が用いられるようになりました。インターフェース(断だ端たと義足の接合面)の素材も、バンドでぶら下げていたものから、シリコンライナーが使用されるようになり、体と義足の接合がスムーズになったばかりでなく、肌にもやさしく、使用者の皮膚トラブルも少なくなりました。また、さらによい義足にするためには、使用者のリハビリテーションも大切です。その人の体の動きになじませるまでが、“義肢をつくる”ということなのです」と臼井さんは話してくれました。んん   す 大西瞳  うパラアスリートを支える装具として、スポーツ用軽量車いすの進化も注目されています。車いすメーカーの株式会社オーエックスエンジニアリングが製作する車いすは、競技種目によってその形状は異なり、車輪の角度や座面の高さ、操作性に至るまで、使用者の体に合わせて細かく計算されてつくられているそうです。選手によっては体を固定するためのベルト位置や締めつけの強度にまで細かくこだわって、調整を重ねる場合もあるといいます。また、同社広報室の櫻さ田だ太た郎ろさんは「一人の選手のご要望がほかの選手の車いす製作に活きることもあり、製作現場における選手とのやり取りは開発に欠かせない重要なコミュニケーションの場となっています」と、話してくれました。くら走ることの楽しさが義足の進化・未来をつくる2株式車会い社す製作オーエックスエンジニアリングスポーツ用軽量車いす既製品では完成しない設計「こだわり」を大切にするカーボンおおにしひとみジーピーエックス30人の義肢装具士によって、年間約7取材協力 オートバイの販売業から業種転換した車いすメーカー。それまでレース用部品の製造・販売、レース活動などを行っていた実績から、モーターサイクル・レーシング・テクノロジーを車いすの開発・製造に応用し、多くのパラアスリートの活躍に貢献している。(写真提供:株式会社オーエックスエンジニアリング)本社スポーツ用軽量車いすの「C(写真提供:株式会社オーエックスエンジニアリング)ARBON G選手(左)の義足を調整する臼井二美男さん(右)(写真提供:臼井二美男)PX」働く広場 2024.4株式会社オーエックスエンジニアリング〒265-0043千葉県千葉市若葉区中田町2186-1TEL043-228-0777(代表) FAX043-228-3334https://www.oxgroup.co.jp11

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