働く広場2024年4月号
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当機構(JEED)では、毎年、職業リハビリテーションに関する研究成果を周知するとともに、参加者相互の意見交換、経験交流を生み出すための機会として、「職業リハビリテーション研究・実践発表会」を開催しています。第31回となる2023(令和5)年度は、「会場参加」と、会場での発表内容などをリアルタイムで視聴できる「ライブ配信」を組み合わせた「ハイブリッド方式」で実施するとともに、新型コロナウイルス感染症の流行により中止していた「ポスター発表」を4年ぶりに再開しました。また、その内容を広く発信するために、2022年度に引き続き、障害者職業総合センター(NIVR)ホームページへの動画掲載も行っています。ここでは、トヨタループス株式会社代表取締役社長の有あ村む秀し一い氏による特別講演「アフターコロナの障がい者雇用~障がい者雇用の質向上に向けて~」をダイジェストでご紹介します。私どもトヨタループス株式会社は、2008(平成20)年に設立されたトヨタ自動車株式会 りらち    ゅう社(以下、「トヨタ自動車」)の特例子会社です。トヨタ自動車の本社や工場を含む愛知県内(10拠点)と、東京都内(3拠点)の合計13拠点で、トヨタ自動車から受託したさまざまな業務を行っています。従業員545人のうち、障害のある社員は429人(知的障害168人、身体障害128人、精神障害133人)で(※)、印刷・製本業務、郵便物の配布業務、清掃、マッサージなどの現場に赴いて行う、いわゆる「現業」を中心にサービスを提供しています。新型コロナウイルスの感染拡大により、当社は大きく二つの打撃を受けました。一つめは、親会社であるトヨタ自動車の経営悪化による受託費の減少です。幸いにもこの状況は一時的なものでしたが、二つめの打撃は、その後も長く続くことが懸念されました。それは「ホワイトカラーの働き方改革」の加速です。在宅勤務やペーパーレス化が急速に拡大することで、当社の主力であったオフィス勤務者の仕事をサポートする業務が激減してしまったのです。危機的な状況を乗り切るための取組みとして進めたのが、紙文書のPDF化などの「在宅勤務をサポートする業務」や「自動車の生産現場での物づくり」などの新たな業務への進出です。特に生産現場への進出は、トヨタの求める高い作業品質の確保や作業者の安全の確保などが課題となり、これまでは進出を断念していた業務でしたが、今後の安定的な成長を求めチャレンジすることを決めました。ばれる作業から取り組むことにしました。順建てとは「工場の生産ラインで組立ての作業をしやすいように、部品工場から届いた部品の梱包を外して整列させる準備作業」をさします。この作業を受託することで、ときには、当社の社員が部品の不良を見つけて報告することなどもあり、まじめな仕事ぶりが工場で働く人たちにも認知されて当社について知っていただく機会生産工程への参画は、まずは「順建て」と呼新型コロナウイルス感染症の影響により既存の業務が激減安定的な受注確保のために工場での生産業務に参画Part1第31回職業リハビリテーション研究・実践発表会「アフターコロナの障がい者雇用特別講演〜障がい者雇用の質向上に向けて〜」トヨタループス株式会社代表取締役社長有村秀一氏※2023年6月1日現在特別講演の様子働く広場 2024.428

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