発売から55年のロングセラー商品「おにぎりせんべい」などで知られる米菓製造販売会社「株式会社マスヤ」(以下、「マスヤ」)は、1965(昭和40)年に設立され、三重県にある伊勢神宮から車でる。マスヤが会社全体で障害者雇用に取り組むことになったのは2013(平成長と親会社「IアスXホールディングス株式会社」(三重県)の代表取締役社長を務める浜は田だ吉よ司じさんのひとことから始まったという。同社の総務本部のリーダーと社長秘書を務める奥お野の育い子こさんは、自身も当時から経営管理チームとして障害者雇用に取り組むことになった1人だ。そのきっかけについて奥野さんは、「あるイエック5くく うまし とき社長が、親しい経営者が熱心に進めている障害者雇用の現場を見学に行ったのを機に、『わが社でも障害者雇用に取り組もう』との方針を示しました。以前から障害のある従業員は数人いましたが、組織的に雇用していたわけではなく、私たちは『うまくいくだろうか』と不安な気持ちもありました」と話す。さっそく奥野さんたちは、その経営者の紹介で県内外の企業4社以上を見学した。ある製造現場で、知的障害のある従業員が自発的に動きながら主力となっている様子を見て、気持ちが変わったそうだ。 「周囲が世話をして働いてもらうのではなく、しっかり戦力になることを実感しました。働く意欲のある人がいるのなら、私たちができるフォローをして一緒に働きたいと思うようになりました」いまでは従業員195人のうち障害のある従業員は8人(身体障害3人、知的障害4人、精神障害1人)、障害者雇用率は4・1%だという(2023︿令和5﹀年6月1日現在)。2022年には障害者雇用優良事業所として当機構理事長表彰を受けている。マスヤのこれまでの取組みとともに、工場で働くみなさんを紹介していきたい。奥野さんたちは特別支援学校の見学に行くなどして採用活動を始めたが、ハローワークの担当者からは「とにかく一度、就職面接会に来てみてほしい」とすすめられたという。 「いろいろな障害種別の方たちと面接をしましたが後日、『当日参加できなかった人がいるので面接できませんか』といわれ、『せっかくだから』と本社に来てもらったのが、佐さ々さ木き裕ゆ太たさん(32歳)でした。明るく元気で、なにより仕事に意欲的だった彼が採用第1号です」米菓の製造販売主要業務を1年かけて習得POINT12325)年。当時の社長で、現在はマスヤ会30分ほどの場所に本社と工場を構えてい株式会社マスヤは米菓の製造を手がける(写真提供:株式会社マスヤ)IXホールディングス株式会社総務本部リーダーの奥野育子さん包装部門で働く佐々木裕太さん働く広場 2024.4基礎となる主要業務を、じっくり時間をかけた研修で習得上司や支援担当者を含め、相談しやすい環境と情報共有機械の故障を機に、施設外就労で現場と利用者にWin-Win効果
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