本に出会ったことがきっかけで障害者雇用を始めました』と書かれていて、『そうだったのか』と思いました。背景や経緯は意外と知らないですよね。あらためて理解のある職場だとわかり、安心できました」給与明細書につける社長メッセージは2008年に始まったそうだ。毎回いろいろなテーマについて社長の言葉でつづられており、林さんによると「社員の家族にも読まれていて好評です」という。紺野さんの陣頭指揮で始まった障害者雇用だが、採用から定着までの取組みは基本的に各営業所に任されている。組織だった支援体制がないなかでも比較的うまくいっている理由について小林さんは、「ほかの営業所で障害者雇用がうまくいっているのを社内SNSで知って、『だったら自分たちも』と積極的になって自然と取組みが進んでいったようです」と答えてくれた。その社内SNSというのが、2013年に設けられた「CanDo(感動)委員会」だ。日ごろから、公私にかかわらず、ほかの社員らに伝えたい「よい話」、「感動したエピソード」などを自由に投稿しあう。なかでもすばらしいと思われた話は、社長自ら「感動大賞」として表彰しているそうだ。2021年にはそれまでに投稿された2100件以上のなかから選りすぐりの約100件にコメントなども加えて再編集した小冊子をつくり、社員らに配ったそうだ。この社内SNSの効果について小林さんはこう話す。 「いろいろな人のエピソードや思いが紹介されていて、同僚の新たな一面も知ることができます。なにより心が温かくなりますね。こういった社内活動が、職場の内外で自然とほかの人を思いやって大切にしようと思える社風の醸成に影響していると思います」ほかにも社内では、社員同士で感謝を伝えたいときに短いメッセージを書いて手渡す「ココロジーカード」と呼ばれるメッセージカードもあり、今回取材を受けてくれた3人とも小林さんから受け取ったそうだ。 「こんの」では近年、子ども食堂の支援にも力を入れている。「こんの」が福島市内で展開するフランチャイズ和食店の店長からの発案がきっかけとなり、現在も定期的に子ども食堂へお弁当を差し入れているほか、子ども食堂に来る子どもたちが、店舗で一日店員をするイベントも行っているそうだ。最近ではウクライナから避難してきた人たちにトイレットペーパーを無償提供したり、震災に見舞われた能登地方の子ども食堂に、義援金だけでなくリクエストに応える形で紙製のコップやトレイを送り届けたりしている。紺野さんは「社員たちからの提案も含め、よいと思ったことはすぐに行動に移します。いつの間にかいろいろなことに取り組んでいますね」と笑って話す。地道に取り組んできた社内活動による、温かい社風が感じ取れる。ちなみに「こんの」は2015年、「第5回『日本でいちばん大切にしたい会社』大賞審査委員会特別賞」を受賞している。紺野さんは「いまは『わが社の最大の 9だ足りない部分もありますが、これから魅力は人です』と胸を張っていえますし、いいたいですね」としながら、「まだまも社員全員が幸せに働き続けられる職場を目ざしていくつもりです」と話してくれた。社内SNSで「感動」を伝え合う「わが社の魅力は人」働く広場 2024.5社員同士で感謝を伝える「ココロジーカード」「CanDo委員会」によせられた約100件のエピソードをまとめた小冊子「CAN DO」社長メッセージは、社員の家族にも好評だ
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