働く広場2024年5月号
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上肢や下肢の切断、脳疾患による麻痺など、肢体不自由のある人が行うパラスポーツは、陸上競技や水泳、スキー、卓球、アーチェリー、各種球技など約度、動かせる部位や可動範囲などに合わせてルールを変更したり、クラス分けをしたり、専用の支援具を使ったりして競技します。現在、多くのスポーツ競技が、肢体不自由の方も競技できるように工夫されつつあります。スポーツ用車いすで競技する「車いすバスケットボール」や「車いすテニス」などもパラアスリートの活躍で注目されるようになり、やってみたいと思う人が増えているようです。重度の肢体不自由のある人が楽しめる競技としては「ボッチャ」があります。ボッチャは、ジャックボール(目標球)に向けて球を投げたり転がしたり、ほかの球に当てたりして、いかに近づけるかを競います。障害の程度でクラス分けされ、自分で投げられない場合はランプという勾配具を使います。金か子こ幹み央おさんは、義足を使用するようランプオペレーターに意思を伝えることができれば競技に参加できます。年齢、性別、障害の有無にかかわらず、だれもが競い合えるスポーツとして開発されました。勤務中の事故で両大腿切断となった  きね  になりましたが、切断面が柔らかい状態の期間は義足もなかなかフィットせず、痛くてたいへんだったそうです。「両足を切断した後の2~3カ月は呆然としていました。その後、義肢装具サポートセンター(※)や、東京都障害者総合スポーツセンターなどに通い、リハビリを続けていました。あるとき、一緒にバスケットボールをしていた方からパラアイスホッケーのことを聞き、﹃東京アイスバーンズ﹄というチームの練習会に参加してみることにしました。はじめは“スレッジ”という競技用のソリに乗ることもむずかしかったのですが、いまは、紹介してくれた彼とともに、パラアイスホッケーの選手として活動しています」と金子さん。※ 本誌4月号のクローズアップで紹介しています。 現在、パラアイスホッケー全日本代表強化チームのメンバーにもなり、練習に励んでいます。病気やケガによる中途障害で落ち込んでいた人が、周囲のすすめで練習会などに参加し、それがきっかけで前向きな気持ちを取り戻して生活できるようになる例は多いそうです。肢体不自由の場合、スポーツをして体のさまざまな部分を動かすことで、血行がよくなったり筋力やバランス感覚が鍛えられたりするなど、障害のない部分の運動機能が向上するという効果が着目仲間との出会いがパラスポーツのきっかけパラスポーツは生活を楽しむきっかけ肢体不自由とスポーツ30種類あります。いずれも、障害の程働く広場 2024.5東京アイスバーンズ所属の金子幹央さんhttps://www.jeed.go.jp/disability/data/works/book/hiroba_202404/index.html#page=12(写真提供:金子幹央さん) 「東京2020パラリンピック競技大会」を契機に注目されているパラスポーツは、障害の種類や程度に応じて用具やルール等も工夫したり、また、障害の有無にかかわらず参加できるものもあります。第4回は肢体不自由のある人と、視覚障害のある人が楽しまれているスポーツについてご紹介します。10第4回第4回クローズクローズアップアップ障害のある人とスポーツ障害のある人とスポーツ〜肢体不自由とスポーツ、視覚障害とスポーツ〜〜肢体不自由とスポーツ、視覚障害とスポーツ〜

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