働く広場2024年5月号
23/36

POINT123企業に対して会計監査や税務、コンサルティングサービスを提供する世界4大ファーム(※1)の一つであるEイYワ︵2018︿平成30﹀年にEアーrンnスsトt・アンド・ヤング名称変更︶の日本支部EイYワJジapanグループ︵以下、「EYJapan」︶には、障害のある従業員が2023︵令和5︶年度で190人以上いる。今後の法定雇用率の引上げにともない、近い将来には300人以上の障害者の雇用を見込んでいる。EYJapanでは、公認会計士や税理士の資格を有する発達障害や精神障害のある従業員も含め、同社のDE&I︵ダイバーシティ、エクイティ&インクルーシブネス︶の理念のもとに、包摂的な職場環境の整備を推進している。今回、お話をうかがった梅う田だ惠め氏は、  め ャパンーイーイ さわEYJapanのDE&Iディレクターである。ダイバーシティ&インクルージョン領域の草分け的な存在のお一人であり、前職として日本アイ・ビー・エム株式会社︵以下、「日本IBM」︶のD&I推進担当部長として活躍されていた。現在は、筑波大学ヒューマンエンパワーメント推進局︵BHE(※2)︶の教授を兼務されており、ダイバーシティ関連の授業も複数担当されている。東京都千代田区にあるEYJapanで働く従業員全員が障害の有無にかかわらず基本的にリモートワークということもあり、今回&Youngからぐみの「編集委員が行く」では、現地取材ではなくオンライン取材とさせていただき、障害のある学生の高等教育や障害者雇用についてDE&Iの視点からお話をうかがった。現在EYJapanのDE&Iディレクターとして活躍されている梅田さんですが、どのような経緯で障害者雇用の領域に進まれたのですか?2007年に日本IBMでダイバーシティ推進の責任者になったことが始まりです。日本人で5人目の日本IBMフェローになった全盲の研究員、浅あ川か智ち恵え子こさん︵現日本科学未来館館長︶との出会いが大きかったと思います。視覚障害者の情報アクセス技術開発に貢献してきた方です。基本的には、法定雇用率未達成からの脱却、情報技術系に進む障害のある学生を増やすための方略、障害者の新たな雇用モデルの創出を目ざす、一般社団法人企業アクセシビリティ・コンソーシアム︵以下、「ACE」︶の立ち上げなどに、ダイバーシティ推進責任者としてかかわったことがきっかけです。梅田さんが日本IBMに勤務されていたころはD&I︵ダイバーシティ&インクルージョン︶部長、現在はEYJapanのDE&Iのディレクターという肩書きでご活躍されていますが、ディ八重田 梅田 八重田 レクターとしての役割を教えてください。企業における多様性、公平性、包摂性を目ざすということは、障害のある方を含め、多様な人材が公平な労働環境で職業的・心理的・物理的に何ら除外されることがない働き方を構築するということになります。ディレクターは、経営陣と従業員の間をつなぐような仕事です。人間の多様性を尊重し、従業員の心理的安全性が確保される包摂的な職場の実現を目ざし、自社の施策の方向性や優先度を決め、実行します。また、自社にとどめることなく、さまざまな形で社外へ発信し、NPO法人などとも連携しながら、社会的包摂という大きな枠組みに展開させることを使命としています。具体的には、ジェンダー・ギャップの解消、障害者やLGBTQ+に対する差別と偏見の解消、個人の生きがいと働きがいを高めて自分らしく働ける職場環境づくりを目ざしています。なかでも、ダイバースアビリティ・センター︵DAC︶では、発達障害、精神障害のある方を対象として、マーケットリサーチ、データ・アナリスト、Webデザイン、ビジネス翻訳などの実務スキルを身につけて、3年以内にひとりだちしていくインターンシップ型の雇用でキャリア形成を支援しています。日本IBM時代の経験が活かされていると思いますが、それについてはいかがですか?日本IBM時代には、障害のある梅田 八重田 梅田 1.はじめに2.DE&I専門職とは?働く広場 2024.5EY Japan株式会社でDE&Iディレクターを務める梅田惠さん※1 世界4大ファーム:「PwC」、「EY」、「KPMG」、「デロイトトーマツ」の4つの巨大な会計事務所グループのこと※2 BHE:Bureau of Human Empowermentの略21(写真提供:EY Japan株式会社)ダイバーシティ(多様性)エクイティ(公平性)インクルーシブネス(包摂性)

元のページ  ../index.html#23

このブックを見る