work wムの責任者であり、幹部候補者の多様性推進において私と業務連携をする立場でした。私のD&Iの上司はその時々でヨーロッパやアジア、北米などさまざまな国にいて、日本の文化や社会特性、歴史などを上司に説明しながら、グローバルの方針や海外の先進事例をいかに取り込むか、日本のよい事例をいかに海外に売りこむかということをしながら、学びながら試す、試しながら学ぶということの積み重ねで新しいことに挑戦してきました。これらの多様な国籍の海外の上司と、日本IBMの人事上の上司や同僚と相談しながら、日本におけるDE&I施策の優先順位を決めて、先の障害のある学生の長期インターンシッププログラム︵2014年︶や、日本IBM初の企業内保育園の設立︵2011年︶、「LGBTQ+と職場」を活動テーマにした任意団体や先にご紹介した障害者の新たな雇用とキャリアを考えるACEの立ち上げ︵2013年︶、従業員の同性パートナーに対する配偶者と同等の福利厚生制度の適用︵2016年︶など、社内の施策だけにとどまらず、社会にインパクトのあるさまざまな先進的で持続可能な取組みができたと思います。日本人同士では出ないアイディアやヒント、サポートをもらうことも多く、また日本人の品質へのこだわりや、時間はかかっても確実に実行する国民性なども理解、尊重し、つねに新しいことに挑戦すith Prideの立ち上げ︵2012年︶ることを励まし続けられ、自分自身が「多様性から学び、多様な個性を包摂し、互いに切磋琢磨しながら成長し、新たな価値を創造していく」という、D&Iの神髄を体験し、それをプログラムや施策のデザインに活かすことができたと思います。日本人が曖昧にしてきた人権の問題についても、ホロコーストや人種隔離政策、西と東の分裂から民主主義や人権を獲得してきた歴史をベースにしたD&Iの考え方を海外の同僚との交流のなかから学んだことも、自分の考えや行動に大きな影響を与えました。日本IBMでの12年半のD&I担当者の経験は厳しいことや辛いことも多かった︵苦笑︶ですが、人事のプロフェッショナルとしての考え方や姿勢、ユニバーサルな人事制度のデザインの仕方を学んだ時期であり、自分のキャリア形成の中心となる12年半でもあります。EYJapanで働く従業員のみなさんのなかには、リモートで働く発達障害のある方が多いのでしょうか? その背景を含め、従業員のみなさんの具体的な働きぶりをお聞かせください。長年、障害のある方の採用をするうえで、勤務地や通勤の問題が壁になることが多くありました。かかりつけのお医者さんや病院から離れられないという事情がありますし、企業が集中している八重田 梅田 日本の首都圏の朝晩の通勤ラッシュはすさまじく、耐えがたいものがありました。EYJapanでは、2018年から働き方改革によって在宅や遠隔地からのリモート勤務ができる体制になっていたのですが、お客さまの要請や監査業務の性質上、リモート勤務の活用は育児や介護の事情がある人に限定されている傾向がありました。それがコロナ禍によって、監査業務のデジタル化が一気に進み、早い段階から全従業員が完全在宅勤務に切り替え、さらに会社も業務理由でない地方への転居も支援するプログラムをつくったり、就職による転居が不要となるリモート雇用を開始するようになり、これを障害のある方の活躍支援に活かすことを考えました。先で説明したDACでは2024年1 一人で仕事に集中するためのスペースや月現在、約30人の方々が働いていますが、5人ほどがリモート雇用で、兵庫県、京都府、愛知県、埼玉県などに在住です。基本的には全員が在宅勤務ですが、オフィスに来るほうが生産性が高い場合や、仕事のリズムがつくりやすい人もいるので、上司と相談しながら、働く環境を自分で選べるようになっています。オフィスはチームの所属するフロアや場所はある程度決まっていますが、フリーアドレスで、WEB会議用の個別ブース、複数人数で会議するスペースなど、業務内容や好みに応じて座るところが選べるようになっています。立位で仕事したり、バランスボー3.オンラインで働く 発達障害のある社員の働きぶり働く広場 2024.523
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