働く広場2024年5月号
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orkspace当機構(JEED)では、毎年、職業リハビリテーションに関する研究成果を周知するとともに、参加者相互の意見交換、経験交流を生み出すための機会として、「職業リハビリテーション研究・実践発表会」を開催しています。2023(令和5)年度は、「会場参加」と、会場での発表内容などをリアルタイムで視聴できる「ライブ配信」を組み合わせた「ハイブリッド方式」で実施するとともに、新型コロナウイルス感染症の流行により中止していた「ポスター発表」を4年ぶりに再開しました。また、その内容を広く発信するために、2022年度に引き続き、障害者職業総合センター(NIVR)ホームページへの動画掲載も行っています。ここでは、パネルディスカッションⅠ・Ⅱの様子をダイジェストでお伝えします。パネルディスカッションⅠAIなどの情報通信技術の進展は、産業構造の転換をうながし、働き方や雇用に大きな影響を与えることが予想されます。障害者雇用においても、良質な雇用機会をどのように確保していくかが大きな課題となっています。パネルディスカッションⅠでは、障害者職業総合センター主任研究員の秋あ場ば美み紀き子こ氏をコーディネーターとして、総合メディカルグループ株式会社管理本部総務部業務支援グループシニアマネージャーの松ま尾お謙け師じ氏、大東コーポレートサービス株式会社RPA推進事業部次長の西に岡お幸ゆ智と氏、国立吉備高原職業リハビリテーションセンター上席職業訓練指導員の相さ良ら佳よ孝た氏をパネリストに迎え、情報通信技術の進展が障害者の職域にどのような影響を与えているかについて確認するとともに、今後の見通しについても意見交換を行いました。はじめに、秋場氏からは、本ディスカッションの背景として、「AI等の技術進展に伴う障害者の職域変化等に関する調査研究」(2021~2023年度)の結果などが紹介されました。それによると、「一般企業の約7割、特例子会社の約8割で、デジタル関連業務に障害者が従事」しており、「データ処理やシステム開発などの業務や、情報処理に加えて判断等を伴う業務」に従事している障害者がいる企業は、「業務の効率化」や「テレワーク化」など、デジタル化の影響をプラスにとらえている傾向があることが確認されました。一方で、「デジタル関連の職域の開発は、企業の支援負担を増やしている」ことなども報告されました。例などが紹介されました。総合メディカルグループ株式会社の松尾氏からは、2012(平成24)年に、精神・発達障害者の雇用に力を入れるようになったことをきっかけに、パソコン関連業務を拡大し、「パソコンを使った事務業務」、「知的障害者による入力業務」、「SE経験者などによる業務効率化システムの構築支援」、「DTP・動画作成などのクリエイティブ領域」などに業務を拡大してきた事例が紹介されました。また、それを支える「企業在籍型ジョブコーチのサポート体制」や「職場実習を基本とした人材採用のプロセス」などについても言及されました。コーポレートサービス株式会社の西岡氏からは、「RPA(※)の開発事業」として、精神・発達障害者を中心に、入社後にRPAプログラム開発の教育を行い、専任部隊を構築してRPAを開発することで、年間5万4000時間を超える親会社の業務削減効果が得られている事例が紹介されました。ターの相良氏からは、同センターでは、「情報通信技術を活用した職業訓練」として、Google 基礎的な内容から、在宅就労を想定した訓練を次に、各パネリストから、それぞれの取組事大東建託株式会社の特例子会社である大東国立吉備高原職業リハビリテーションセンなどのオンラインツールを活用して、情報通信技術の活用の進展を踏まえた障害者雇用のあり方についてPart2第31回職業リハビリテーション研究・実践発表会Ⅰ「情報通信技術の活用の進展を踏まえたⅡ「アセスメントを活用した就労支援のパネルディスカッション障害者雇用のあり方について」今後のあり方について」  W  がしかんつしかきも き  働く広場 2024.5※Robotic Process Automation。従来は人の手で行っていた定型業務をロボットにより自動処理してもらう仕組み28

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