働く広場2024年5月号
4/36

2012︵平成24︶年に須藤シンジが立ち上げ2021︵令和3︶年から私が代表を務めています。そもそも須藤は自身の息子さんが障害をもって生まれてきたことをきっかけに、2002年にファッションやデザインを通じて障害者と健常者が混ざり合う社会を創るソーシャルプロジェクト「ネクスタイド・エヴォリューション」を立ち上げ、活動をしていました。このときから私もプロジェクトに参加し活動を続けるなかで、私たちは「心のバリアフリーをクリエイティブに実現する思想や方法」として「ピープルデザイン」を提唱し始めました。そしてネクスタイド・エヴォリューションでの活動をベースに、この考え方を活用して、渋谷発でダイバーシティの街づくり活動を行うNPO法人を立ち上げました。私たちは「障害者」、「高齢者」、「LGBTQ」、「外国人」、「子育て中の父母」の五つのマイノリティの方たちの社会課題を、「モノづくり」、「コトづくり」、「ヒトづくり」、「シゴトづくり」の4領域で解決しています。現在力を入れて取り組んでいるのが、「障害者」と「シゴトづくり」と「ヒトづくり」をかけ合わせた「就労体験プロジェクト」です。年。創設者の須藤が、当時特別支援学校に通っていた息子さんの将来の仕事の選択肢が少なく「好きなことにかかわる仕事を経験させたい」と考えたことがきっかけです。私たちも学生時代、アルバイトをするときは「やってみたい仕事」を探し、ワクワクしながら働いた経験があると思います。クしながら非日常の晴れ舞台で働き「ありがとう」といってもらえる体験ができる場として、スポーツや音楽などのエンターテインメントのイベントに着目しました。仕事内容としては、会場の設営や清掃、チケットもぎり、会場案内などをになっています。運営スタッフとして他者や社会とあたりまえに混ざり合い、一緒に働くことで自然に接する機会を持つことができます。この体験は、福祉事業所などに声をかけて参加者を募り、4時間程度の働く体験で「交通費」として2千円を支給します。ょ   2こも安全性などの面を不安に思い躊ち躇ちしていました。そんななか、男子プロサッカーJリーグの「横浜FC」が受け入れてくださったのです。2012年の記念すべき1回目には、横浜市内から10人の障害のある方が参加しました。これをきっかけに他地域や、他のサッカークラブやスポーツ、音楽イベントへと拡大していきました。このプロジェクトがスタートしたのは2012そこで私たちは、障害のある方たちもワクワはじめた当初は受入れ候補先を探しても、どゅう﹁ピープルデザイン﹂とは――まず、NPO法人ピープルデザイン研究所について教えてください。田中 「NPO法人ピープルデザイン研究所」は、――研究所のおもな活動として﹁就労体験プロジェクト﹂がありますね。田中 ――就労体験者には、実際にどんな効果があり働く広場 2024.5NPO法人ピープルデザイン研究所 代表理事田中真宏さんたなか まさひろ 1978(昭和53)年、東京都生まれ。文化服装学院卒業後、スノーボードインストラクター、アパレルの販売・企画・デザイナーを経て、2009(平成21)年にNPO創設者の須藤シンジ氏が代表を務めるネクスタイド・エヴォリューションに入社。2012年、NPO法人ピープルデザイン研究所設立とともに運営メンバーに。ディレクターとして「超福祉展」などのイベントや、「障害者の就労体験プロジェクト」などの企画・ディレクションから運営までをになう。2021(令和3)年4月より代表理事に就任。ワクワクする場で 「就労体験」を

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る