働く広場2024年5月号
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POINT123紺こ野の道み昭あさんだった。「経営がうまくいっ紙類やペットボトルなどの再生資源の回収から卸売までを手がける「株式会社こんの」(以下、「こんの」)は、1957(昭和32)年に設立され、本社を構える福島県をはじめ宮城県や埼玉県、東京都などに八つの営業所を持つ。同社が障害者雇用に取り組むことを決めたのは、2000(平成12)年から3代目として代表取締役社長を務めているていなかったとき、ある本に出会って、社員を大切にすることこそ優先すべきであり、そのなかに障害者雇用もあると知りました」とふり返る。いまでは全社員156人のうち障害のある社員は13人(身体障害1人、知的障害8人、精神障害4人)で、障害者雇用率は9・52%(2024︿令和6﹀年1月現在)だという。2021年に福島県内で2番目となる「もにす認定制度」による認定を受け、2023年には当機構(JEED)の障害者雇用優良事業所等表彰における「理事長努力賞」を受賞している。毎日のように古新聞や段ボール、大量のペットボトルなどが運び込まれる現場で働く人たちを紹介しながら、これまでの取組みや効果について伝えていきたい。紺野さんは大学卒業後、会社員を経て父の経営する「こんの」を手伝うため帰郷したそうだが、「会社は倒産しかかっていました。よい会社にしようと業績を上げることに一生懸命でしたが、なかなかうまくいきませんでした」。そんなとき、書店で偶然目にした本が、元法政大学大学院教授の坂さ本も光こ司じさんの著書『日本でいちばん大切にしたい会社』だったそうだ。 「いまでは有名な日本理化学工業株式会社などの紹介とともに、"社員を大切にする会社は業績も上がる"と書かれていました。当時、業績が上がれば会社もよくなるはずと思い込んでいた私とは真逆の考え方でした」 「こんな話、すべて本当なわけがない」と疑いつつ、2008年に日本理化学工業株式会社の職場見学に行って、納得したという紺野さん。あらためて坂本さんたちがいう「よい会社」の条件の一つに障害者雇用があると知った。「正直それまで気にかけたこともなかったのですが、大事なことなのだと学びました」ただ、それでも「重機などが動き回る現場で障害者雇用を進めるのはむずかしいかもしれない」としばらく躊ち躇ちしていた。そんなとき、宮城県の仙せ南な営業所に特別支援学校から職場実習の受入れ依頼があった。 「実習ぐらいならと1人を受け入れてみたのですが、驚くほど適材適所でした。普通なら慣れてくると手を抜きそうな作ゅう再生資源物の卸売本をきっかけに  5きちんかうとんんょ    働く広場 2024.5再生資源の回収や卸売などを手がける「株式会社こんの」代表取締役社長の紺野道昭さん株式会社こんの福島営業所社長をはじめとする幹部社員らが 障害者雇用の理解を深める研修や職場見学に参加歩行者用白線の整備や声のかけ合いなどで安全な環境を目ざす社内SNS「CanDo委員会」で互いを思いやる社風を醸成

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