働く広場2024年6月号
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 –    かつ    8Costピクトグラムで課題認識JibaAchieveBest 「みどりの活動」は、2018年にスタートしたキョウセイ独自の改善活動だ。「みどり」は「みんなで、どんどん、りそうをめざす」の頭文字からつけられたという。活動内容について古吉さんが説明する。 「工場で働く障がいのある従業員たちに、現場で感じる問題点を見つけてもらいます。それを一つひとつ私たち職員もまじえて改善・解決策を考え実行していきます」ちなみにキョウセイでは便宜上、障がいのある社員のことを「従業員」、指導やケアにあたる社員を「職員」と呼んでいる。現在リストアップされているのは30件。そして3件が改善されている。改善内容についても、現場の従業員が「すごい悪い・悪い・良い・すごい良い」に分けて評価し、マークをつけておくそうだ。 「みどりの活動」が始まったきっかけについては、提案者である管理部品質保証課の係長を務める高た田だ哲て志しさんが説明してくれた。もともとキョウセイは、倉敷化工の親会社にあたる大手自動車メーカー「マツダ株式会社」をはじめ、グループ会社で行っている「JABC([地場アチーブ・ベスト・コスト])活動」に2011年から参加してきたそうだ。 「職員による活動でしたが、キョウセイが特例子会社になったのを機に、障がいのある従業員も発表できる機会をつくったところ、その1人が、とてもいきいきと発言する様子を見ました。それで『従業員が主体の改善活動もやったらどうか』と社内提案しました」と高田さんはいう。古吉さんたちも「従業員が主体の職場なのだから、従業員の目線で、従業員が中心となって活動していこう」と賛同し、実行に移すこととなった。改善活動のスタートにあたり、まず従業員全員を対象に「みんなの夢『10年後のキョウセイ』」と題したアンケートを行った。「不良をなくしていい製品をつくる工場にしたい」、「5S(※1)をしっかりして、きれいな工場を目ざしたい」などとする「笑顔あふれる従業員が主役の工場」を目ざしていくことに決まった。当初は選抜した5人程度で始めたが、ほかの従業員からも「参加したい」との声があがり、15人の計3チームに。職員4人のサポートを受けながら週3日、各日午後の30分程度集まることになった。具体的な活動は、異なる工程の担当者たちでチームを構成し、現場をまわりながら、さまざまな目線で問題点を洗い出し、解決法を考えていくというもの。その前に、力を入れたのが勉強会だ。高田さんが説明する。 「最初は、改善活動の基本でもある『なぜなぜ分析』(※2)をやろうとしましたが、従業員のなかには、分析のしかたがわからない人もいました。そもそも『重い』や『つまずく』ということが作業リスクになると認識できない人が多いとわかりました」そこで高田さんは「ひっかかる」、「重い」といった作業リスクを簡略化した独自のピクトグラムを60種ほど作成、工場内の必要な場所に掲示することにした。勉強会でもピクトグラムを使って「だから、こういう問題が出る」といった流れで説明すると一気に理解が進んだ。例働く広場 2024.6※1 5S:「整理」、「整頓」、「清掃」、「清潔」、「しつけ」を通じて、職場の課題を解決するための改善活動のこと※ 2 なぜなぜ分析:現場で起きた問題について、単に処置するだけではなく、「なぜ」をくり返しながら根本原因を突き止めて再発を防ぐ手法障がいのある従業員も参加し、治具の試作品づくりに取り組む(写真提供:株式会社キョウセイ)管理部品質保証課の係長を務める高田哲志さんさまざまな作業リスクを簡略化した独自のピクトグラム(資料提供:株式会社キョウセイ)

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