POINT123Individuallacement IPSとは「」の略です。「は「個別の」、「就職斡旋」、「味します。日本語では「個別就労支援プログラム」などと呼ばれています。IPSは、アメリカで1990年代より開発された手法です。日本の一定規模の企業には法律で定められた障害者の雇用の義務があり、それを満たす目的で障害者の就労を実現する訓練プログラムが多く存在しますが、それは当然ながら就労という結果を目的とするものです。反対にIPSの発祥は、精神疾患の回復には就労が効果的だという、医療側からのアプローチです。その効果の高さから、最近では就労移行支援事業所などで、IPSを活用しているところも増え始めています。Placement」は「配置・Individual Pand SupportSupport」は「支援」を意障害者は日常生活そのものに困難があるということは、容易に想像することができます。日常生活の困難を克服しなければ、就労継続はむずかしい。日常生活支援までを雇用側がになうことへの負担があることから、最近は、福祉・医療の専門家の意見を取り入れることが有効であると考えられ、雇用・福祉・医療の連携の重要性、必要性を感じている方も多いと思います。今回、島根県浜田市において、病院の■ 」 ■医療スタッフによるIPSを活用した就労支援が成果を上げていると耳にし、社会医療法人清和会の西川病院と、就労先のひとつである石■見■食品株式会社を取材しました。西川病院では、医師であり同法人理事長の林■輝■男■さん自らがリーダーとなり、2016(平成28)年よりIPSを導入しています。法人として就労移行支援事業で行うか、精神科デイケア(※1)で行うかを議論し、デイケアのプログラムとして行うことを決めました。林さんから一般就労への思いをお聞きしました。 「私は広島県出身ですが、精神科医になった当初、教授からのすすめで島根県浜田市の西川病院に診療援助に行くことになりました。通常であればおそらく閉鎖病棟に入院するような患者さんが、外を歩いたり庭でくつろぐ姿を見て驚きました。当時(1992年ごろ)は、日中は多くの患者さんが漁港で魚の選別作業や、トロ箱づくりなど、院外作業で働きに出ていました。『やればできるんだな』というのが最初の実感でした。半日働く人もいれば、夕方まで働く人もいる。診察を通してこういった患者さんたちと触れ、『必ずしも症状がすべてなくならなくても、働ける人はいっぱいいるのだ』と感じました。その後、ご縁がありアメリカで研究を行うことになり、15年間アメリカで暮らしました。地域の花火大会では『統合失調症協会』、『メンタルヘルス協会』などのブースがあり、精神疾患があっても地域で活発に活動する姿を見て、日本の遥■■IPS「個別就労支援プログラム」とは障害者の就労を支えるのはだれか西川病院林先生の一般就労への思い働く広場 2024.6※1 精神科デイケア: 精神障害者の社会生活機能の回復を目的として個々の患者に応じたプログラムにしたがってグループごとに治療するもの。実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者一人あたり一日につき6時間を標準としている(精神科医師、作業療法士、精神保健福祉士、臨床心理技術者、看護師などが在籍する)社会医療法人清和会 西川病院社会医療法人清和会理事長で精神科医の林輝男さん21精神障害者の回復において、就労が一つの手段となっているIPSという就労支援手法を取り入れ利用者をサポート病院が中心となり、障害者雇用を地域企業に波及させていく
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