別に見ると、特に肢体不自由や内部障害において第5期(57歳から67歳)から急速に就労率が低下していたのに対して、視覚障害や知的障害ではより緩やかな低下で、聴覚障害では特に低下は認められず、精神障害では第7期(61歳から71歳)で急速に低下しています。また、精神障害ではほかの障害よりも、1960年代生まれや1970年代生まれで就労率が低水準となっているという特徴も認められました。回答者のうち、回答時点で非就労であったものは200人でした。第4期以降の調査では、非就労者の今後の仕事への考えも聞いており、「職業生活から完全に引退し、今後仕事をするつもりは全くない」とした回答を職業生活からの引退の意向ととらえると、職業生活からの引退の意向があったのは45人(非就労者の23%)であり、これは、全回収数のうち約5%に該当します。障害種別に見ると、肢体不自由と内部障害では非就労者の約4割が職業生活からの引退の意向を持っており、肢体不自由では60歳未満が半数以上ですが、内部障害では約9割が60代の回答でした。また、視覚障害でも非就労者の約3割が職業生活からの引退の意向がありました。1計2312 一方、聴覚障害、知的障害、精神障害では非就労者であっても、職業生活からの引退の意向があるものは約1割でした。さらに、精神障害では60歳未満での引退の意向が多い傾向も認められました。 「調査研究報告書№■■■障害のある労働者の職業サイクルに関する調査研究(第7期)」においては、以上の分析結果の詳細、調査内容の第1期から第7期までの集計結果等を掲載しています。1950年代生まれの障害者は第7期で全員が60歳を超え、肢体不自由や内部障害では職業生活からの引退が進んでいる一方で、聴覚障害や知的障害等では就業継続の意向が強く、実際に就業が継続している状況が明らかになりました。これに対して、1960年代生まれの障害者は、1950年代生まれと同様の変化がず、世代だけでなく、さまざまな社会的動向等の影響も示唆されます。さらに、精神障害では1980年代生まれと比較して、1960〜1970年代生まれの就労率の低さには、なんらかの世代的な課題がある可能性もあります。て調査していることから、多様な要因間の因果関係をより正確に、また時系列の変化をふまえて検証できる可能性があります。2024年3月時点では、すでに16年間の調査を完了し、このような長期継続調査の特徴を活かして、さらに、障害者の安定した就業に向けた、きめ細かい対策を進めていくための基礎資料としていくための分析を進めています。本調査は、個人に対して長期にわたり継続し4 職業生活からの引退(表1)5 まとめ働く広場 2024.6※ 就労状況不明又は年齢不明を除いたすべての回答のうち、回答の多い年齢層を1950年代生から1980年代生まで抜粋して掲載。集計対象者の各調査期の年齢の範囲は下記の通り。第7期出生年代1950年代49-59歳51-61歳53-63歳55-65歳57-67歳59-69歳61-71歳1960年代39-49歳41-51歳43-53歳45-55歳47-57歳49-59歳51-61歳1970年代29-39歳31-41歳33-43歳35-45歳37-47歳39-49歳41-51歳1980年代19-29歳21-31歳23-33歳25-35歳27-37歳29-39歳31-41歳%)100%80%60%40%第1期第2期100%80%60%40%第1期第2期100%80%60%40%第1期第2期全障害計肢体不自由精神障害100%第3期第4期第5期第6期第7期100%第3期第4期第5期第6期第7期第3期第4期第5期第6期第7期80%60%40%第1期第2期第3期第4期第5期第6期80%60%40%第1期第2期第3期第4期第5期第6期1950年代視覚障害内部障害第2期第1期1960年代1970年代100%80%60%40%第7期第1期第2期第3期第4期100%80%60%第7期40%第1期第2期第3期第4期聴覚障害知的障害第3期第4期第5期1980年代第5期第6期第7期第5期第6期第7期10年(5期)後に生じる結果にはなってはおら表1 職業生活からの引退を希望した者の年齢層図1 出生コホート別の就労状況30代40代50代60代計 1 2 3(27%) 1 2 3(12%) 91021(40%) 1 8 9(41%) 1 2 5(9%) 3 4(11%)162445(23%)「調査研究報告書 No.170」は下記ホームページからご覧いただけます。https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku170.html◇お問合せ先 研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp)回答者数に占める回答者数(非就労者)全回収数に占める割合割合 11(3%) 25(2%) 52(12%) 22(9%) 53(2%) 37(4%)200(5%)全回収数 87166178101236 94862第6期視覚障害聴覚障害肢体不自由1内部障害知的障害精神障害※ 回答者数は第4期以降に1回以上非就労であった者の数(本調査項目の回答対象者)、全回収数は第4期以降に1回以上回答した者の全数。複数の調査期において職業生活からの引退の意向を示した者については、最初に回答した調査期の年齢層のみ集計に用いた。29
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