働く広場2024年6月号
6/36

――国際大会は、国内大会の競技とは違う点も多かったそうですね。小倉 えられました。とくに当時指導してくれた上司からの「手抜きをすると、よいものはできない」との言葉を胸にがんばってきました。はんだづけ作業などは日ごろ職場で行うことはないのですが、品質のこだわりや安全面の徹底などへの意識を高めることができたことも大きな収穫でした。3回目の挑戦となる2017年、第37回全国アビリンピック(栃木県)に初出場し念願の金賞をとることができました。社内訓練で積み上げてきたスキルを活かし切れたことが奏功したと思います。緊張せずに臨めたのは、ソフトボールでの経験があったからかもしれません。国際アビリンピックでは、一部の課題内容については事前に公開されません。私自身は、電子回路の基礎を頭に叩き込んだうえで、オシロスコープ(※3)といった専門機器の使い方もマスターしなければ、トラブル対応も含め勝ち残れないと思いました。渡仏前には、第10回国際アビリンピックの国   うん  ましか4際審査員を務める職業能力開発総合大学校の高た回路についての理論、計算方法などを教えてもらいました。同じデンソー大安製作所の島し田だ美み励まし合いながらスキルを高め合えたのもよかったです。りも早い午前7時から開始され、課題内容や指示の変更がありました。前回とは違い、知識がなければできないことが数多く盛り込まれていて、レベルの高さに高橋先生も驚いていたほどです。あとから聞いた話では、課題を作成したフランスの審査員も「ちょっと、むずかしすぎたかも」と話していたそうです。私自身は「やるしかない」と覚悟を決めて臨みました。語通訳さんと手話通訳さんが活躍してくれて、競技内容も完全に理解しながら進めることができ、とても感謝しています。けし橋は毅た先生にも指導していただき、部品の役割や穂ほさんも日本代表に選ばれていたので、一緒に競技当日の説明はどの日本選手団参加競技よ競技にかかわる伝達面においては、日本の言出国前に日本選手団が集まった場で、未知の分野「電子機器組立」の担当と知り、専門的な用語が多い競技なので茫ぼ然ぜとしました。行きの飛行機では寝ずに勉強しました。現地でも、ずっと小倉さんたちとともに行動させてもらっていました。おかげで、一丸となり大会に臨むことができました。専門用語の「手話合わせ」もやり込み、新たにつくり出した手話もあります。フランス語→英語→日本語→手話の伝達はたいへんでしたが、よい経験でした。国際アビリンピックのレベルの高さ手話通訳者の藤ふじ田た聖まさ子こさんから働く広場 2024.6第10回国際アビリンピックで小倉さんが獲得した銀メダル(写真提供:株式会社デンソー)通訳にあたる手話通訳者の藤田聖子さん(右)※3 オシロスコープ:電気信号の時間経過による変化を視覚的に表示する機器上司や同僚らが寄せ書きをした国旗とともに国際大会に臨み、銀メダルを手にした

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る