働く広場2024年6月号
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授産施設からスタート「みどりの活動」POINT123岡山県の倉敷美観地区と水島コンビナートの中間地点に位置する「株式会社キョウセイ」(以下、「キョウセイ」)は、おもに産業用防振ゴム製品を手がける製造会社だ。ここで働く全従業員116人のうち障がいのある従業員は66人(身体障がい1人、知的障がい59人、精神障がい6人)、なかでも重度の知的障がいのある従業員は24人在籍し、障害者雇用率は77・88%(2024︿令和6﹀年3月末現在)だという。キョウセイの前身は、授産施設「ひまわりの園(現P.P.P.オールスターズ!福田・浦田)」だ。知的障がいのある子どもの親たちが、「親なき後もわが子が、自分の力で生きていけるように」という思いから立ち上げた「社会福祉法人ひまわりの会」(以下、「ひまわりの会」)が中心となって、1983(昭和58)年に開設した。その後、ひまわりの会の活動に賛同した倉敷化工株式会社(以下、「倉敷化工」)からゴム成形業務を受託。工場も建設し、翌1984年にキョウセイを設立した。名前の由来は「共に生きる」だ。キョウセイは2014(平成26)年に倉敷化工の子会社となり、翌2015年Participation(かかわるすべての人の当には特例子会社に認定。一方のひまわりの会は2017年に「社会福祉法人P.P.P.」(以下、「P.P.P.」)と名称を変更した。「P.P.P.」は、「PoweredbyParty事者参加を原動力に)」とのフレーズから頭文字を取ったという。いまも30人近い従業員が、P.P.P.の運営するグループホームなどから通っている。倉敷化工から出向し、キョウセイの取締役を務めている古ふ吉よ敏と之ゆさんは「キョウセイでは、障がいの内容や程度にかかわらず、だれもが悩まない、迷わない作業現場を目ざしてきました」と話す。これまでの独自の取組みとともに、働く従業員のみなさんを紹介していきたい。キョウセイがおもに手がけるのは産業用防振ゴムと呼ばれる製品だ。金属部品の振動を抑制するためゴムを接着させたもので、自動車や産業用機械などに広く使われている。「キョウセイは、部品の用途や大きさなどによって細かくつくり分ける多品種少量生産が得意です」と古吉さん。仕様が多岐にわたるだけに、手作業が必要なところも少なくない。約3200㎡の広い工場内は、ゴムの素地を練る工程、製品に合わせて切り分ける工程、ゴムをつけるための金具に接着剤を塗る工程、実際にゴムと合わせて成形する工程、仕上げ・出荷工程などに分かれている。その一角に置かれたボードには、「みどりの活動」と書かれた下に「見つけた改善場所30箇所」、「改善待ち27箇所」と記入されたプレートと30件ほどの一覧表が掲示されている。その隣の「工場内改善マップ」には3カ所に顔のマークがついていた。働く広場 2024.6産業用防振ゴムの生産を手がける株式会社キョウセイキョウセイの取締役を務める(写真提供:株式会社キョウセイ)工場の一角に置かれた「みどりの活動」のプレート★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社キョウセイ様のご意向により「障がい」としています古吉敏之さん     しきるし   7 授産施設を母体に工場建設、保護者らで株式会社を設立独自の改善活動やピクトグラムで、負担なく働きやすい現場に社会福祉法人との業務提携で多様な支援体制へ

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