POINT123職業能力開発校は、ほかの諸機関と並んで障害者雇用の質を高めるために重要な役割を果たしている。また、私の個人的な想いであるが、「職業能力開発校が障害者就労支援分野で、もっと着目されてもよいのでは」と、これまで感じ続けているところだ。まずは障害のある人への職業能力開発(職業訓練)全般について概観をしておきたい。・今回の取材先の一つ、東京障害者職業能力開発校の前身である東京身体障害者公共職業補導所が終戦直後である1948(昭和23)年に開設されている。つまり障害者への職業訓練は日本の職業リハビリテーションの原点の一つといえる。・現在の障害者への職業訓練は、①国や都道府県が設置した障害者職業能力開発校と、②一般の職業能力開発校において障害者対象訓練科が設置されている場合での実施、また今回の取材対象ではないが、③「障害者の多様なニーズに対応した委託訓練」がある。・どのような種別の障害のある人が職業訓練を受講しているのか、については最新の統計がなかなかインターネット上では見あたらなかった。ただし、かつては身体障害者が中心であったが、現在は発達障害を含む精神障害者の割合が増えているものと推察される。・職業訓練というと、一般的にはいわゆる個々の職業で求められるスキル(プログラミング、建築設計、印刷など)について、訓練科・コースに分かれて高めるという印象があるかもしれないが、それだけではなく生活指導にも力が入れられている。つまり職業リハビリテーション分野の用語でいえば、職業準備性を高める指導も職業訓練では行われている。そして障害のある人の職業能力開発でもさまざまな実践が行われるようになっており、現在は発達障害者や精神障害者を対象とする、あるいは多く在籍する訓練科・コースもある。また、国立職業リハビリテーションセンターなどでも優れた職業訓練が行われている(※1)。それではそれ以外の職業能力開発校で、将■司■さん、課長代理で就職・生活指導担特に発達障害者・精神障害者に対し、どのような職業訓練が行われているのかということを把握したいと考え、今回は東京障害者職業能力開発校を訪問し、石川県立金沢産業技術専門校はオンラインで取材を行った。2023(令和5)年度末に、まずは東京障害者職業能力開発校(以下、「東障校」)を訪問し、能力開発課長の菊■地■当の栗■原■裕■美■さんにお話をうかがった。東障校は国が設置し、東京都が受託運営する職業訓練施設である。1948年はじめに東京障害者職業能力開発校を訪問して ■■■■■ ※1 本誌2023年4月号の「クローズアップ」で紹介しています 東京障害者職業能力開発校能力開発課課長代理で就職・生活指導担当の栗原裕美さんhttps://www.jeed.go.jp/disability/data/works/book/hiroba_202304/index.html#page=12東京障害者職業能力開発校能力開発課長の菊地将司さん働く広場 2024.7発達障害者・精神障害者の特性に合わせた訓練プログラム実際の職場を意識した実践的な職業訓練障害者就労支援機関と連携し、地域で就職後もフォロー21
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