働く広場2024年7月号
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2024年4月施行)、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」(障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律、2022年5月施行)に賛同し、「私たちは出版界、図書館界とも歩調をあわせ読書環境整備施策の推進に協力を惜しみません」と述べている。就労障害者の保険引受け範囲拡大 「ぜんち共済株式会社」(東京都)は、就労している障害者に向けて、保険引受け範囲を拡大した。ぜんち共済は、全国の知的障害者とその関係者を対象に福利厚生制度を行うために設立された全国知的障害者共済会を前身としており、おもな対象を知的障害や発達障害、ダウン症、てんかんのある人としていた。今回、段階的な取組みとして、就労者にかぎり、障害者手帳の種類に関係なく保険に加入できるようにした。対象の就労者は、①一般就労をしている人(正社員・契約社員・パート・アルバイトなど)、②就労継続支援A型・B型事業所で働いている人、③就労移行支援事業所に在籍している人とし、これまで個人賠償責任補償では対象外となっていた職業従事中の「他人にケガをさせたとき、他人の物を壊したとき」に補償できる「就労応援プラン」も用意した。『きょうだいの進路・結婚・親亡きあと    ■■    ミニコラム弁護士の藤■木■和■子■さんが、『きょうだいの進路・結婚・親亡きあと50の疑問・不安に弁護士できょうだいの私が答えます』(中央法規出版刊)を出版した。藤木さんは5歳のとき、3歳下の弟の聴覚障害がわかったという。幼少期から「弟と私は将来どうなるのだろう」、「私は実家や地元を出てよいのか」などと悩みながら弁護士になった藤木さんは、2010(平成22)年ころから当事者団体「きょうだいの会」に参加。先輩の体験談からヒントを得るとともに、きょうだい特有の悩みの幅広さとむずかしさを痛感したことから、きょうだいの立場の弁護士として、発信や相談などの活動を行っている。本では「一生、障害のある弟の世話をしなくてはいけない?」、「結婚相手にはいつ・どう話す?」、「親亡きあとはどうする?」など、きょうだいが抱く悩みや疑問、不安などについて50項目をQ&A形式でまとめている。A5判162ページ、1980円(税込)。障害者就労支援、雇用支援というと、障害者雇用促進法に基づく支援機関(地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなど)や、障害者総合支援法に基づく施設(就労移行支援事業所など)が着目されることが多い。そのほか、特別支援学校の進路指導には就労支援も含まれるし、病院でも就労支援に取り組んでいるところもある。これらと同様に職業能力開発促進法に基づく職業能力開発校(職業訓練校)も、実践上重要な役割をになっているし、さまざまな工夫も行われており、その実践には非常に魅力的な面がある。職業リハビリテーションの歴史の上で欠かせない存在でもある。一方で、先述した諸組織・機関に比べ、職業能力開発は障害者就労支援分野において、なかなか着目されていなかったり、十分に知られていないのではないかという想いが私にはある。障害者を支援する支援者側であっても、就労支援と直接は関係していない(場合がある)市町村の福祉窓口担当者や相談支援事業所などの担当職員に、障害者職業能力開発があまり知られていない場合が少なくないように感じている。そこで今回は、職業能力開発の取組みについてもっと世の中に知ってもらいたいと考え、取り上げたという面もある。一方で、職業能力開発分野側からすると(障害者職業能力開発も含め)、自分たちはあくまでも職業能力開発分野の人間であり、障害者就労支援分野ではない、という意識、矜■持■を持っておられる場合もあるようである。職業能力開発は、法制度上の職業リハビリテーション分野とは別に発展してきたという経緯のある制度であるからかもしれない。ただし、利用者(障害者や企業等)にとってみればそうした区分はどうでもよいことであり、いずれの機関を利用しようとも、障害者が就職して充実した職業生活が送れるようになることが一番の関心事であろう。利用者中心・主体のサービスであることを前提に、職業能力開発、それ以外の障害者支援分野、それぞれの考え方を尊重しつつも、職業能力開発を含んだよい就労支援の実践が世の中により普及していくことを願うものである。■■障害者職業能力開発・職業訓練にもっと着目を※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は若林委員が執筆しています。ご一読ください。編集委員のひとこと第36回国際医療福祉大学准教授 若林功本紹介50の疑問・不安に弁護士できょうだいの私が答えます』全国働く広場 2024.731

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