神障害のある職員向けに休憩室を整備したりと、一人ひとりの事情に合わせて職場環境の改善を重ねてきたそうだ。車いすユーザーの男性職員(32歳)は、入庫間もない24歳のときに通勤途中でバイク事故に遭い、頸椎損傷を負った。半年間の入院後、リハビリ専門病院に3カ月間、さらに埼玉県の国立障害者リハビリテーションセンターに3カ月間通い、隣接する当機構(JEED)の国立職業リハビリテーションセンターにも2年間通ったのち、2018(平成30)年に職場復帰した。いまは融資部でおもにデータ入力を担当している。両手の握力がないため、食事の際は車いすグローブと呼ばれる自助具を手にはめ、そこにスプーンなどをとりつけて食事をとっているそうだ。職場でパソコン業務をするときは、タイピングするための器具を自助具にとりつけて、両手で1文字ずつ打ちこむ。この器具は、国立職業リハビリテーションセンターに特注でつくってもらったそうだ。頸椎損傷を負ったことで、起立性低血圧の症状にも苦労したそうだ。「朝、起き上がろうとすると血圧が急降下して気を失っていました。毎日、腹部にベルトを巻くなどして血圧を下げないよう訓練を重ね、いまはなんとか気を失わずに起き上がれるようになりました」と話す。職場では当初、ほんのわずかな段差でも車いすで上がれず、同僚の助けが必要なときもあったそうだが、スロープを増やしてもらい、いまでは不自由なく移動できるようになっているという。「職場の人たちにもよくしてもらって働けています」と話す男性職員が、いま気をつけているのは、やはり健康面。「尿路感染などで発熱しないよう、手の消毒なども気をつけています。元気に働けるうちは働きたいです」と笑顔で答えてくれた。もう1人の車いすユーザーの職員が、総務課で働く岩い崎ざ真ま弓ゆさん。プロ車いすテニスプレーヤーの上か地じ結ゆ衣いさんと同じ病気だそうで、幼少時から両足が不自由だ。小学生時代から兄の使っていたパソコンに親しみ、養護学校(当時)在学中に簿記など商業系の資格を取得。「資格を活かせる仕事がしたい」と1990年に入庫し、現在34年目になる。外部からのメールを関係部署にふり分ける仕事や、現物の書類を仕分ける作業などを担当している。岩崎さんは「ここ5年ほど、職場の業務においてデジタル化が進んだことがうれしいですね。私はプログラミングもやっていたのでスキルを活かしていきたいと思います」と、話してくれた。岩崎さんの入庫当時、職場ではトイレ みわきみ 8ざまですし、障害のない方には気づきにを改装した。さらに先ほど紹介した車いすユーザーの男性職員が入庫したときは、玄関の小さな段差にスロープもつけたという。その話を引き合いに、岩崎さんは「同じ車いすユーザーでも抱える事情はさまリハビリを経て復帰スキルを活かしていきたい車いすユーザーの男性職員融資部で働く職場環境改善の一環で整備された休憩室タイピングをサポートする自助具を使用し業務にあたる働く広場 2024.8
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