あったそうだ。2018年の入社時は落ち着いて仕事に取り組めていたのだが、毎年障害のある社員が増えていくなかで、ほかの障害のある社員との連携や協調を求められる場面が増えてきた。それは、荒木さんの障害特性上簡単なことではなかった。指導員たちは、支援機関や職場適応援助者(ジョブコーチ)の支援も利用し粘り強くかかわったのだが、なかなか解決の糸口が見つけられないまま時間が過ぎていった。そんな折、月1回開催される王将フードサービスとの定例会議の場で、取締役の太田さんが荒木さんのことについて工場長と副工場長に相談した。すると、工場長の八は田た典の明あさんから「『工場内の見学ツアー』をするから、荒木さんが活躍できそうな場所を見つけてほしい」と提案があった。太田さんたちは荒木さんと一緒に工場内を案内されながら、荒木さんが取り組めそうな仕事を一つひとつ確認していった。その「見学ツアー」で見つかったのが「コンテナクリーン場での仕事」であり、荒木さんも「やってみたい」とのことであった。 「コンテナクリーン場では前から障害のある社員が働いていたので、特に不安はなかった」と涼しい表情でコメントする八田さんである。すぐに試しに作業してもらったところ、別人のように集中して取り組む姿が見られた。荒木さんも「仕事が楽しい」と話し、表情まで明るく穏やかになったのだ。八田さんはいう。 「私が札幌工場から久御山工場に着任した当時は、王将ハートフルのメンバーたちとは、廊下ですれ違えば挨拶するくらいの接点しかありませんでした」八田さんは続ける。 「でも、王将ハートフルのメンバーはみんな元気だし、自分から挨拶してくれる。それが全員できているのは『すごい』と素直に思いました。現場に活気がある、これは理想の職場の姿だと思います。生産量も品質も期待通りの成果を上げてくれています。労働災害は設立以来一件も起こしていません。こんな優秀な労働力を活かさない理由はありません。これはもったいないことです」という。そして「同じ職場で働いているんだから、 りっきもっと交流して理解し合う必要がある」との思いから、八田さんと久御山工場のすべての管理職は、シフトをやりくりして、障害者職業生活相談員資格認定講習を受講した。「障害について勉強したら、従業員たちの意識がガラッと変わった」、「現場からもいろんなアイデアが出てくるようになった」という。 「将来的には、王将フードサービス久御山工場の全社員に障害者職業生活相談員の講習を受けてもらいたいと思っています。時間はかかっても必ず実現させたい。株式会社王将フードサービス久御山工場の工場長の八田典明さんコンテナクリーン場で働く荒木裕介さん働く広場 2024.823
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