働く広場2024年8月号
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POINT1231922(大正11)年の創立から102年を迎えた「静せ清し信用金庫」は、地域の中小企業を経営面から支える金融機関として静岡県内に42店舗を展開している。障害者雇用については1982(昭和以来、少しずつ雇用を進め、いまでは職員583人のうち、障害のある職員は12人(身体障害8人、知的障害2人、精神障害2人)、障害者雇用率は2・5%(2024︿令和6﹀年4月1日現在)だという。採用から定着までかかわっている、人事部人事課で課長を務める加か藤と久く仁に子こさんは「それぞれの特性や事情に沿って支援をしながら能力を活かしてもらい、大事な戦力として活躍してくれています」と話す。また静清信用金庫ではこれまで、福祉施設が手がけたパンやお菓子の販売機会をつくったり、特別支援学校の生徒や障害のある人の美術作品をロビー展示したりするなどの活動も続けてきた。2021年度には「障害者雇用優良事業所厚生労働大臣表彰」を受賞している。今回は、パソコン作業が中心の職場で、こまやかな支援や指導を受けながら能力を発揮している精神障害のある職員のケースを中心に、全体の取組みなどを紹介していきたい。2023年8月から人事部人事課で働いている加か藤と圭け樹じさん(26歳)は、高校3年生のときに親のすすめで病院を受診し、注意欠如・多動症(ADHD)と診断されたそうだ。「自分は、ものごとに集中しすぎるところと、逆に注意散漫なところがあります」と説明してくれた。進学した国立大学で歴史などを学びながら、学生支援室にも通った。就職活動では公務員試験の面接まで進んだが残念な結果になってしまったという。大学卒業後は就労移行支援事業所に通い、あらためてパソコンスキルの習得など就職活動に向けた訓練を1年半続けたそうだ。ちょうどそのころ静清信用金庫の加藤課長に、ハローワークから加藤さんを紹介したいと連絡が入った。「私たちが以前からパソコン操作のできる人を探していると伝えていたので、適材だとすすめてくれたようです」と加藤課長。さっそく職場見学に来た加藤さんに、加藤課長が人事課の業務を紹介しながら「エクセルの関数はできる?」と聞いてみたところ「できます」と即答。その日のうちに操作も披露してもらい、十分なパソコンスキルがあることを確認できたという。職場実習と半年間のトライアル雇用期間中にも、加藤さんは持ち味の探求心や集中力を発揮して周囲を驚かせた。加藤さんが最初に任された業務は、全う  5 ういゅ     いん  創立102年の信用金庫高校でADHDと診断57)年に身体障害のある職員を採用して静清信用金庫人事部人事課長の加藤久仁子さん人事部人事課で働く加藤圭樹さん働く広場 2024.8ハローワークからの紹介を中心に採用、人事部拠点に支援と育成一人ひとりの事情や特性に合わせて部署配属他部署への応援派遣もしながらキャリアアップや業務拡大も

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