題になりやすいかなどを教わり、進路指導の先生ともつながりができた。 そうして特別支援学校の先生から「こういう生徒がいますよ」との情報提供を受け、2019年に採用したのが高たか野の響きょう平へいさん(24歳)だ。「いまでは立派な現場の戦力になっています」と山本さん。さっそく高野さんの職場を見せてもらった。 本社から車で30分ほどの郊外にある鶴つる来ぎ工場。主力商品である電子制御ユニットなどを製造しており、ここで高野さんは部品のラインキーパーを担当している。 製造フロアでは、ラインごとに20種類以上の部品を組み込んでいくが、各部品が入ったトレーが空になるとシューターから出てくる仕組みだ。ラインキーパーは、同じ番号のトレーを棚から探してきて、製造ラインのキーパー担当バーコードを読み取り確認してからセットする仕事で、高野さんは「最初はトレーの場所を覚えるのに苦労しました。二つのラインに気を配りながらの仕事です」と教えてくれた。 高野さんは特別支援学校3年次にアール・ビー・コントロールズで2回のインターンシップを経験。入社後はケースを洗浄したり棚に供給したりする仕事をしていたが、5年目のある日、現場の上司に「新しいこともやってみたい」と相談したそうだ。その意欲をくんだ上司は、現場の社員らと検討し、ワンランク上の業務としてラインキーパーに挑戦してもらうことを決めたという。 当時の作業担当者と一緒に練習し、最初は一つのラインだけ試してみて、問題がないと判断されたら二つめのラインも一緒にできるか確認していった。合格基準は「これまでの担当者と同じ速度でミスなくできるか」で、高野さんは1カ月あまりでOKが出たそうだ。 鶴来工場製造一課課長の山やま田だ忍しのぶさんによると「最初はたしかに不安もありましたが、挑戦してもらって本当によかったと思います。前任者がちょうど定年退職したため、タイミングよく新担当者となりました」という。「彼はいつも元気いっぱいで、現場を明るくしてくれるのも大きな長所です。ただし行動も元気すぎて、たまに通路で人とぶつかりそうになるので注意しています」と冗談を交えつつ激励した。 高野さんに今後の目標を聞いたところ「後輩社員が入ってきたら、仕事を教えてあげられるようになりたいです」と答えてくれた。 ちょうど前日、特別支援学校の生徒たちが工場見学に訪れた際、工場長から紹介された高野さんは「僕のかっこよく仕事しているところを見ていってください」といったそうだ。案内役だった山本さんが「あとで生徒さんたちに感想を聞いたシューターに部品をセットする高野さん高野さんが働く鶴来工場の製造フロア鶴来工場製造一課課長の山田忍さんアール・ビー・コントロールズ株式会社鶴来工場鶴来工場でラインキーパーとして働く高野響平さん働く広場 2025.18
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