ら『あのかっこいい先輩の姿を見て、自分たちも同じように活躍したいと思いました』と返ってきました」と伝えると、高野さんはうれしそうに笑顔を見せていた。 管理者のいない現場で、1人で業務をこなす従業員もいる。澤さわ田だ朋ほの佳かさん(22歳)は、特別支援学校の2年次と3年次に同社でインターンシップを受けた。学校でも清掃作業を学ぶ授業があり、「掃除の仕事が好きで、ここを志望しました」と話す。 入社後は、本社内の食堂の清掃や消毒作業、中庭の水やり、社内郵便などの業務を1人で担当している。それを可能にしたのが作業チェックシートだ。JEEDが研修などで提供している資料を参考チェックシートで自己管理にして、山本さんがつくったという。 最初は作業を一つひとつ指導しながら何分かかるかを確認し、「何時から何をするか」を細かく書いた作業チェックシートができた。澤田さんは毎日それを手にチェックを入れながら作業を進めていく。山本さんによると「作業チェックシートは管理機能を果たしています。会社側としては作業後の結果さえしっかりわかればよいので、澤田さんも自己管理しながらひとり立ちできます」とのことだ。作業チェックシートには、1カ月をふり返って翌月に何をがんばるかという目標も記入し、面談をしながらスキルアップにつなげていくそうだ。 澤田さんは「1人で働き始めた当初は、作業中にわからないことがあっても緊張して周りの人に聞けませんでしたが、仕事に慣れていくうちに自信もついて、自分から聞けるようになったことがよかったです」とふり返る。 社内郵便は、量によって毎日数回に分けて仕分け、社内を回って担当者に渡している。「それぞれの作業の時間配分や段取りは、自分なりに工夫していることもあります。天気によっては先に掃除をしたり、社内郵便を優先させたりして、終わったものから順番にチェックして、確認していますね」という澤田さんは、「社員のみなさんから『いつもありがとう』っていってもらえるのがうれしいです。今後も、早寝早起きをして元気よく働けるようにしたいです」と語ってくれた。 山本さんたちは定着のための取組みにも力を入れてきたという。おもな内容について、これまでの苦労や工夫も含めて教えてもらった。①チーム支援の体制づくり 障害のある人に対しては、インターンシップを受け入れており、家族に対しても職場見学に招き、仕事内容のほか職場環境や福利厚生、会社の方針なども知ってもらっている。入社後も互いに連絡を取りやすい関係性をつくっておくことを大事にしているそうだ。 一方で当初は、入社後の受入れ先の部署を見つけることが容易ではなかったと定着のための工夫澤田さんは、中庭の水やりなども担当している本社内の食堂で消毒作業を行う澤田さん本社で働く澤田朋佳さん自己管理に活用される「作業チェックシート」(写真提供:アール・ビー・コントロールズ株式会社)働く広場 2025.19
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