これからの時代の障害者雇用とはこれからの時代の障害者雇用とは いよいよ2025年。今号では、本誌編集委員会座長を務め、障害者雇用の研究における第一人者である松まつ爲い信のぶ雄お委員と、海外の先進事例などにも造詣の深い八や重え田だ淳じゅん委員による「新春特別対談」をお届けします。 キーワードは「未来の障害者雇用」。障害者の雇用にかかる環境変化が著しい時代における障害者雇用のあり方についてお話しいただきました。新春特別対談 松爲信雄編集委員×八重田淳編集委員~2024年をふり返る~ 職業リハビリテーションに 期待される役割の広がり 松爲 新しい年を迎えるにあたり、障害者雇用の未来についてお話しできればと思います。八重田先生は、2024(令和6)年をふり返り、どのようなことを感じていらっしゃいますか? 八重田 2024年は、災害や戦争によって多くの方が生活基盤や仕事を失い、その復興も職業リハビリテーション(※1)の大きな役割の一つではないかと感じた年でした。日本国内では、能登半島での地震や豪雨が発生し、国際的にはウクライナでの戦争が続いています。こうした状況で、職を失った人々に対して、枠組みを超えた新たな支援の必要性を痛感しました。 例えばアメリカには、ハリケーンなどの災害が起こったときに、被災地に職業リハビリテーションカウンセラーなどの専門家が派遣され、失業者の相談やメンタルヘルスのサポートに応じている事例があります。アメリカは、多くの職業リハビリテーションカウンセラーがいるため実現できていることではありますが、日本の職業リハビリテーション支援も、障害者にとどまらず、災害や困難に直面した人々など、幅広い人に向けたものとして、より広くとらえ、拡充していくことが必要だと感じました。今後日本でもそうした支援が求められていくのではないでしょうか。 松爲 その視点はとても重要ですね。こうした支援は、障害の有無にかかわらず、多くの人に必要とされていますから。また、障害者の職業リハビリテーションで得られた知見やノウハウは、ダイバーシティへの対応など、これからの多様性の時代を支えていくさまざまな人たちにも活かせるものだと思います。特に日本では、少子高齢化が進み、労働力不足が深刻化していますので、こうした多様な人材を活かすための支援はますます重要性を増していくことでしょう。働く広場 2025.120
元のページ ../index.html#22