用語解説きる人を増やす必要性を感じています。 八重田 職業リハビリテーションやキャリア支援について学べる場が増えると同時に、学校教育にも、学びの場が広がっていくことが望まれますね。大学の一般教養科目として学んだり、さらに子どものころから障害について学んだりして、多様性への理解を深める教育が広がっていくことに期待しています。そうした機会が増えることでさまざまな個性や特性を持った人を受け入れることのできる社会の土壌が形成されていくのではないでしょうか。「本人・支援者・企業」 三位一体の支援が求められる 松爲 これからの障害者雇用や職業リハビリテーションにおいて、私は「三位一体の支援(24ページ図)」が欠かせないと考えています。 八重田 「障害者本人」、「支援者」そして「企業」の三者が一体となって支援を行うという考え方ですね。 松爲 法定雇用率の段階的な引上げや、障害者の算定方法の変更、雇用の質の向上のための事業主の責務の明確化など、障害者雇用促進法関係法令の改正(※8)がありました。これは企業が障害者の雇用をより積極的に促進するための大きな後押しとはなりますが、制度的な変化だけでは、障害者が職場に定着し、安心して働き、活躍するための「雇用の質」は確保できないでしょう。障害者雇用の真の充実には、企業が障害のある人を含む多様な人材を取り込んで、そのウェルビーイングの達成を目ざす価値観のもとに主体的に責任を果たすだけでなく、支援者は企業と本人の双方を支えるかけ橋となる責任が求められます。また、障害者本人も自らのキャリアを築いていこうとする意識改革も不可欠です。企業・支援者・障害者本人の三者が働き続けるために役割を互いに補い合いながら一体となって取り組むことが、障害者のキャリア形成や長期的な職場定着を支える鍵だと思います。 八重田 障害者本人が、自らのキャリア形成に主体的に取り組むことが重要だという考えも大切なポイントですね。アメリカの職業リハビリテーションでは、支援者の役割は「本人の自立と自律を高めること」とする明確な職業指針があり、障害者本人が、自らのキャリアを主体的に築けるようにサポートするのが支援者の役割だとされています。日本でも手助けをすることに加えて、「障害者が自分でキャリアを築けるよう支援する」視点が求められますね。 松爲 おっしゃる通りです。支援者はあくまで「サポート役」であり、最終※8 障害者雇用促進法関係法令の改正直近では令和4年度に改正され、令和5年度以降順次施行されている。改正の概要は厚生労働省のホームページをご参照ください。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00019.htmlまた、法定雇用率の引上げや除外率の変更についてはこちらをご参照ください。https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf 働く広場 2025.123
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