要でした。 検討するなかで浮上したのが、グループ内の介護部門が運営する高齢者施設の入居者の私物の洗濯でした。介護職の人たちが勤務時間中にやりくりしていると知り、これを請け負うことにしました。須藤 現在拠点は都内3カ所で、高齢者施設109カ所から委託され、利用者87人が洗濯業務に従事しています。かわりに介護職の人たちが入居者とのコミュニケーションなど、コア業務に集中できるようになり喜ばれています。 当初目的としていた障がいの重いメンバーも雇用することができています。さらにビジネスメイトでの就労継続がむずかしくなった方たちも移ってきて、元気に仕事をしています。今後は加齢の問題も出てきますので、グループ内の受け皿としても機能していくと思います。 逆にこれまでソシアスからは2人がビジネスメイトに入社しました。今秋も5人が職場見学に行っていますが、コロナ禍で中断していた一般就労にも力を入れていきたいですね。活き活きと活動できる場こそ―取組みがグループにもたらした効果や今後の展開について教えてください。村上 ビジネスメイトは日ごろから近いところで事業の一環として活動してくれていて、障がいのある人と一緒に働くことが特別ではないと社員たちは感じています。新入社員研修でもビジネスメイトで一緒に仕事をする取組みを長年続けています。 私自身が事業部門で痛感しているのは、いくら戦略が机上でうまく描けても、それを実現する人や組織がなければ絵に描いた餅になってしまうことです。人や組織が活き活きと活動できる場をつくることこそが、会社にとっても重要です。 だれもが長く働く時代にもなってきているいま、いろいろなライフステージの人、さまざまな事情を抱えた人が、そのときのベストパフォーマンスで生きがいを持って働いていける労働環境を整えることが大きなテーマでもあります。そういう面でビジネスメイトやソシアスも、大きな意義と可能性を持っていると感じています。 ちなみにグループ社員のなかには、ビジネスメイトやソシアスの活動に共感し、公募制度で異動するケースも少なくありません。須藤もその一人で、以前は私と一緒にマーケターとして活躍していました。須藤 私は、異動してきてよかったなとつくづく思っています。ほかのグループ会社から異動してくる社員をはじめ多様な人たちとともに、まさに働きがいのある職場です。また、現場で日常的に出てくる「よく生きる」という言葉が、大きな一体感とともに背中を押してくれています。村上 「よく生きる」、「よく生きたい」との思いが、他者への支援やサービスにつながっていくのだと思います。この理念を中心に多様な人たちが集まっていることが、ベネッセグループの強みにもなっていると実感しますね。 今後は、2社がより大きな存在として持続的に続いていくためにも、時代をとらえた事業開発を続けながら成長する必要があると考えています。 昨年は多摩市シルバー人材センター(東京都)と包括連携協定を結びました。会員が1500人いてもさばけない仕事をビジネスメイトがにない、逆に早朝の業務などをシルバー人材センターのみなさんに依頼する形で互いにカバーしあいながら、ともに活躍の領域を広げていきます。今後は、ベネッセグループにとどまらず地域社会にとっても、なくてはならない存在になっていくことを期待しています。 また企業のみなさん向けには、ビジネスメイトのホームページ上にある「TAMATE-BAKO」で障がい者雇用のノウハウを公開しています。企業・団体による会社見学も2023年は国内外107件、延べ589人にのぼりました。意欲のある企業のみなさんと一緒に、これからも障がい者雇用を盛り上げていきたいと思っていますので、いつでもご連絡をお待ちしています。Leaders Talk働く広場 2025.15
元のページ ../index.html#7